...暁方からは配達、近所は籠に入れ自転車で、遠方は大八車でまわりました...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...風が少しずつ静かになっていって薄明るい暁方(あけがた)の光が...
徳永直 「冬枯れ」
...このごろ市中に評判のある辻斬の曲者(くせもの)を尋ねんがために」「なるほど」「夜更(よふけ)から暁方(あけがた)へかけて...
中里介山 「大菩薩峠」
...暁方にならば風が出るでござろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが、追われるはいいが、その帰り先がわからん、心細い次第のものだ」さらさらと、少しかすれた声で淀(よど)みなく言ってのけて、自ら嘲るようにも聞えたから、轟の源松が、「いえ、どう致しまして、追い立てるなんて、そんな失礼なことを致す里の習いではございません、おそそうがあってはいけないから、お宿もとまで確(しか)とお送り申し上げろと、わざわざわっしを、あとからせき立てて、よこしましたくらいなんですから」「いずれにしても御苦労な話だが、御苦労ついでに、その拙者のお宿もとというやつをひとつ心配してくれないか、わしは今晩ドコへ行って宿(とま)ったらいいか」「御冗談じゃございません、おれの行くところはどこだと交番でお聞きになるは、篠山(ささやま)の杢兵衛(もくべえ)さんに限ったものです、あなた様などの御身分で、めっそうもない」「何はともあれ、島原は源平藤橘を嫌わないところだ、金さえあれば、王侯も、乞食も、同じ扱いをする里で、追い払われた身は行くところがないじゃないか――お前、親切で送ってくれるのだから、親切ついでに、わしを送り込む宿所まで見つけてくれるのが、本当の親切だ」「恐れ入りました、左様の御冗談をおっしゃらずに、どうか、お行先をおっしゃっていただきます、暁方とは申せ、まだ先が長うございます、どれ、この辺でひとつ提灯(ちょうちん)に火を入れさせていただきまして」轟の源松は、腰に下げていた小田原提灯を取り出して、燧(ひうち)をカチカチと切って、それに火を入れたのは、とある橋の袂(たもと)でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ちょうど三日目の暁方(あけがた)に...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...暁方(あけがた)になってぐっすり寝込んだのでございましょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暁方(あけがた)ウトウトとしたところへ入って首尾よく取ったという術(て)を用いたのでございます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...自分の家で暁方まで働いていたというのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いつだい」「昨夜(ゆうべ)――と言っても暁方(あけがた)だったそうで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お徳の殺されたのは暁方(あけがた)だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暁方(あけがた)帰って来た様子でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何か聞えたに違いありません」「時刻は?」「間もなく丑刻(やつ)半(三時)だったと思います」「暁方(あけがた)と言っても...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あとはみんな夜中から暁方(あけがた)へかけての火事で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...西町奉行所天保(てんぱう)八年丁酉(ひのととり)の歳(とし)二月十九日の暁方(あけがた)七つ時(どき)に...
森鴎外 「大塩平八郎」
...十六日の暁方(あけがた)は...
吉川英治 「親鸞」
...ただ警官の張込をといた暁方(あけがた)に二三の来客があるばかりであった...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
...火の色がどこにも見えなくなった暁方(あけがた)の四時ごろである...
和辻哲郎 「地異印象記」
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