...すなわち、彼が望みの宝をお遣(つかわ)しになりましたに因って、是非に及ばず、誓言(せいごん)の通り、娘を波に沈めましたのでござります...
泉鏡花 「海神別荘」
...是非にと云ふ事になれば...
伊藤野枝 「惑ひ」
...急に乗り気になって是非にと懇望して来ると云う訳で...
谷崎潤一郎 「細雪」
...『夏すがた』の一作は『三田文学』大正四年正月号に掲載せんとて書きたるものなりしが稿成るの後自(みずか)ら読み返し見るにところどころいかがにやと首をひねるべき箇所あるによりそのまま発表する事を中止したりしを籾山書店これを聞知り是非にも小本(こぼん)に仕立てて出版したしと再三店員を差遣されたればわれもその当時は甚(はなはだ)眤懇(じっこん)の間柄むげにもその請(こい)を退(しりぞ)けかね草稿を渡しけり...
永井荷風 「書かでもの記」
...されど『文芸倶楽部』によりてその作を発表せんには是非にも主筆の知遇を待たざるべからずとて怒を忍び辞を低うして虎の門外(そと)なるその家を訪(と)ふものも尠(すく)なからず...
永井荷風 「書かでもの記」
...是非にもお出でのほどお願ひ申上候...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...是非にも弟子にと頼まれる勘当の息子たちからは師匠と仰がれ世を毒する艶(なまめか)しい文章の講釈...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...小説を綴らんには是非にも篇中人物の性格を究(きわ)め物語の筋道もあらかじめは定め置く要あり...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...是非にも遊びに来るようにと手紙をもらうことも度々になったので...
永井荷風 「裸体談義」
...是非に及ばぬ、我々は一足先に行手の村里へ参り、しかるべき人夫を頼んでこれへ遣(つか)わし申そう...
中里介山 「大菩薩峠」
...貴殿御同意なきに於ては是非に及ばぬ儀でござる故に...
中里介山 「大菩薩峠」
...是非に及ばぬこと」ここで舞台が暗くなると共に...
中里介山 「大菩薩峠」
...是非に及ばぬこと」礼儀から言っても...
中里介山 「大菩薩峠」
...どうも是非に及ばない...
夏目漱石 「坑夫」
...梅子は是非にと逼つた...
夏目漱石 「それから」
...是非に今夜、お前さんとお話ししたいことがあって、ここまであとをしたってきましたが、迷惑でしょうがほんのちょっとの間、そこまでお付合いが願えませんか」雪之丞はためらわなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...この上は是非におよばない...
森鴎外 「阿部一族」
...しかし約束は約束なれば是非に及ばぬ...
夢野久作 「名娼満月」
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