...――見たまえ! 昨日まで冷たい灰色の氷のあったところに今は澄んだ池があった――すでに夏の夕べのようにおだやかに希望にみちて...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...いぶせき藁屋(わらや)の軒場も荒れた宿の風情(ふぜい)に昨日までの栄華を思い...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...きれいさつぱりと昨日までの事は忘れてしまつて...
種田山頭火 「其中日記」
...一昨日まで九度五分の熱でねていたのに...
豊島与志雄 「椎の木」
...そこに見える陸地に戦争があって、その戦争に、一昨日まで、従っていたとは思えなかった...
直木三十五 「近藤勇と科学」
...七「まア、親分」「お勢、これはどうした」家の中はガランとして、下女の姿も見えない上、昨日までは、あんなに厚化粧の若作りだったお勢が、白粉(おしろい)も紅も洗い落して、元の素顔に、無造作な櫛巻(くしまき)、男物のような地味な単衣(ひとえ)を着ているのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...昨日まで恐ろしく景気のよかったという...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...昨日まで小唄(こうた)や囃(はやし)で世渡りをしていた...
久生十蘭 「鈴木主水」
...昨日まで妾の信じきっていたあの人は...
平林初之輔 「オパール色の手紙」
...何ということでしょう! 妾は昨日まで...
平林初之輔 「華やかな罪過」
...昨日まで暖飽な生活をして来た私が遽(にわ)かに毎月十五円とは...
牧野富太郎 「植物記」
...こうなると皆のことを怨みに怨んでいた昨日までのことが...
正岡容 「初看板」
...そして昨日までいた家には...
水野葉舟 「帰途」
...今日の夜明けから私は昨日までの私ではないだろう...
三好十郎 「冒した者」
...ホンの昨日まで、あのようにしか見えなかつたものが、チョットした加減で今日は、まるで別のように見える...
三好十郎 「肌の匂い」
...つい昨日までその腹にかかえていた赤ん坊を...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...昨日まであそこに...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...昨日までのあらゆる権力のあとを焼きつくして...
吉川英治 「私本太平記」
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