...この間の日暮れなどもそうっと無花果(いちじく)を袂(たもと)へ入れてくれた...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...日暮れ近い、この人里遠い道には、私達の後になり先になりして尾いてくる男が一人いるだけで、他には人の影らしいものもない...
伊藤野枝 「転機」
...日暮れごろなりしもその家に行き用を果たして帰りけるが...
井上円了 「おばけの正体」
...飯ばかりの飯をかむ・おばあさんが自慢する水があふれる・いつかここでべんたうたべた萱の穂よ・笠きて簑きて早乙女に唄なく・笠をぬぎしつとりと濡れ・ふるもぬれるも旅から旅で・禿山しみじみ雨がふるよ・合羽きるほどはふらない旅の雨ふる・青葉に雨ふりまあるい顔六月廿一日暮れきるまへに帰庵した...
種田山頭火 「行乞記」
...日光はもう往来にささず日暮れに間もないことが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...どうでしたと婆さんの問に敗余の意気をもらすらく車嘶(いなな)いて白日暮れ耳鳴って秋気来(きた)るヘン忘月忘日 例の自転車を抱いて坂の上に控えたる余は徐(おもむ)ろに眼を放って遥(はる)かあなたの下を見廻す...
夏目漱石 「自転車日記」
...日暮れが待遠(まちどお)でたまりません...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...「吉五郎は日暮れ前に家へ帰されるはずだよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...灰色の道日暮れになつて散歩する道ひとり私のうなだれて行くあまりにさびしく灰色なる空の下によこたふ道あはれこのごろの夢の中なるまづしき乙女その乙女のすがたを戀する心にあゆむその乙女は薄黄色なる長き肩掛けを身にまとひて肩などはほつそりとやつれて哀れにみえるああこのさびしく灰色なる空の下で私たちの心はまづしく語り 草ばなの露にぬれておもたく寄りそふ...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...……この象は昨日の日暮れ方永田の馬場へ持って行って葭簀囲いにし...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...彼等のお蔭で僕等は斯うして明方の四時前から日暮れに至るまで否応なく営々として働きつづけるので...
牧野信一 「沼辺より」
...鍛冶屋のお爺さんの家に着いた時はもう日暮れでした...
夢野久作 「豚吉とヒョロ子」
...ハヌマン味方の創(きず)を治せんとて薬樹を北海辺に探るうち日暮れて見えぬを憂い...
南方熊楠 「十二支考」
...こんなところでグズグズしていると、日暮れまでに、その沢下とかって温泉までつけないわよ...
三好十郎 「胎内」
......
三好達治 「朝菜集」
...キャッキャッとフザケ合っていたよ」「六七台の自動車は日暮れ方にみんな帰ってしまって...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...上等の葉巻きを一箱お土産に持って日暮れ方にヒョッコリと遣って来た...
夢野久作 「鉄鎚」
...日暮れ方にこの窓から覗いていると...
夢野久作 「ココナットの実」
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