...既に十年の餘も斯うして此學校に居る事が出來たのだ...
石川啄木 「雲は天才である」
...「えっ、船を取りに向河岸へ行く」「私は女軽業師、幸い斯うして、彼方(あちら)から此方(こちら)へ、藤蔓が引渡して御座いますから、それを伝って行けば何んでも無い事で御座います」「成程なあ」普通の者には出来ぬ芸だが、女軽業師の小虎としては、何んの造作も無いので有った...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...二人は斯うしていつか知らず其の手と手を堅く握り合ふやうな親しさを見せ合ふのだとみのるは考へてゐた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...遠く離れた此処に斯うしていても...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...――彼地(あちら)に行っても面白くないから、それで、またしても戻って来たのだが、斯うしていても、あの年齢を取った、血気(ちのけ)のない、悧巧そうな顔が、明白(ありあり)と眼に見える...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...斯うして新聟の家へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...斯うして、又もやそれ程近く迄伸びて来掛った救いの手が外れて、タイタニック号の人々は、よくよく其の夜の冷たい水に溺死す可き運命に決められていたのだろう...
牧逸馬 「運命のSOS」
...そのうちに彼は、斯うして座つて、何かいろいろなことを考へたりしてゐる自分自身の存在といふものが、極めて不気味な存在のやうな気になつて、終ひには妙な恥しさを覚えた...
牧野信一 「熱海へ」
...斯うしてチビチビと飲み始めるのだ...
牧野信一 「極夜の記」
...僕は斯うしてゐても会社の仕事の続きを行つてゐるやうな気分になつてしまふからさ……それにしても僕達は遠慮のない永い友達だつたね...
牧野信一 「雑談抄」
...斯うして眺めてゐると...
牧野信一 「西瓜喰ふ人」
...俺は何時の時でも斯うして妹を迎へに来なければならないんだよ...
牧野信一 「ダイアナの馬」
...斯うしてもう二旬あまり田舎を離れ...
牧野信一 「僕の運動」
...斯うして見てゐると...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...いつ迄斯うしていたって」隅の椅子から...
宮本百合子 「或る日」
...人も斯うして此島を見出したらうかと...
柳田國男 「蒼海を望みて思ふ」
...深山の木は斯うして葉を落すと直ちに後の新芽を宿して...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...斯うして久しぶりの友だちと逢って一緒にのんびりした気持に浸っていて見ると...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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