...敏子もそこへ佇(たたず)んだまま...
芥川龍之介 「母」
...妻の敏子は、到頭金にならなかつた原稿の、包紙の雨に濡れたのを持つて、渠の居間にしてゐる穢(むさくる)しい二階に上つて来た...
石川啄木 「足跡」
...彼を異常に敏感にしたのだ...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...芸者の方でも「敏(びん)さん/\」と近しくなつてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...同時に圧迫しようとかゝるものを嗅ぎつける点でも敏感であつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...敏(さと)く識取していたものを...
コナン・ドイル 三上於莵吉訳 「空家の冒険」
...敏子にはよく分りませんでした...
豊島与志雄 「旅だち」
...最近の心理学で、いうところの、例えば、「下意識」などという言葉は、いわば無意識の世界のことをいうのであるが、むしろ、この無意識の世界が、一番敏活に、一番正確に、全身をあげて、フルに動いている時のことをいうのである...
中井正一 「美学入門」
...その瞬間の米友の挙動は驚くべき敏捷なものでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...朝夕(あさゆふ)の冷(つめ)たさすら其(そ)の過敏(くわびん)な神經(しんけい)を刺戟(しげき)した...
長塚節 「土」
...その中で、怪我人が三人、誘拐(かどわかし)が一人、奪(と)られた金は五百両あまり、何しろ意地が悪くて、賢くて、残酷で、敏捷で、手の付けようのない曲者(くせもの)です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...裸身(はだか)では居られないので、天然の美を被ふのに、その顔によく似合つた色の布を選らむのは当然なことで、すこしでも美しいのをといふ心持ちが、色彩に敏くなり、模やうや、かたちまでが種々に変化し、売手のつくる流行に支配されると、自分の皮膚とは、似てもにつかないものをつけることになつて、化粧を濃くしてごまかし、自分の本来のものを殺してまで衣服の柄の方に顔を合せようとする不自然さになつたりする...
長谷川時雨 「きもの」
...そのことに関しては敏感であるという...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...長与敏行夫人と言うべきかな?春子 まあ...
三好十郎 「樹氷」
...その時フィンクは疲れて過敏になった耳に種々雑多な雑音を聞いた...
リルケ Rainer Maria Rilke 森鴎外訳 「白」
...もしそれだけの敏感さを持つて知らしてくれたら...
横光利一 「書翰」
...旌旗(せいき)をうごかすや敏...
吉川英治 「上杉謙信」
...そういう敏感な心が...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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