...一端口外した自家意中の計画をさえも容易に放擲(ほうてき)して少しも惜(おし)まなかったのはちょっと類の少ない負け嫌いであった...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...わたしは東洋人が瞑想と仕事の放擲(ほうてき)ということによって何を意味するかをさとった...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...勉強を放擲(ほうてき)しようとする気持もわかるけれど...
太宰治 「乞食学生」
...雨戸の外にぽんと放擲(ほうてき)した...
太宰治 「春の盗賊」
...金溜(かねた)め主義を放擲(ほうてき)してぱっぱっと使う気になったのであろうと...
谷崎潤一郎 「細雪」
...無論僕は一切を放擲して再びダンニソープに向けて出発したさ...
コナンドイル 三上於莵吉訳 「グロリア・スコット号」
...幕閣は半信半疑にこれを放擲(ほうてき)し...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...或は自己の一切の計量を放擲(ほうてき)しようと試る...
外村繁 「澪標」
...しかもその発明を中途で放擲(ほうてき)してしまうのであったが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...新たな玩具(がんぐ)のためにすべてを放擲(ほうてき)した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...あんまり放擲(うッちゃ)ッといちゃアよくないよ...
広津柳浪 「今戸心中」
...何もかも放擲された...
牧逸馬 「生きている戦死者」
...長男の新吉が生れぬ前に学校を放擲するとアメリカへ旅立つた...
牧野信一 「淡雪」
...といふてあのまゝに放擲しても処分の術もなく...
牧野信一 「凩日記」
...別段何の理由もなくさつぱりとこの仕事を放擲してしまひました...
牧野信一 「趣味に関して」
...従来の“直義(ただよし)まかせ”を放擲(ほうてき)したかのようなおもむきがある...
吉川英治 「私本太平記」
...人はその一切の智慧を放擲(ほうてき)して嬰児(えいじ)のこころに帰ったときに...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...吾我の意欲を放擲して...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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