...一端口外した自家意中の計画をさえも容易に放擲(ほうてき)して少しも惜(おし)まなかったのはちょっと類の少ない負け嫌いであった...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...そうして自分の用事などは放擲(ほうてき)して礼拝三昧(らいはいざんまい)の陶酔的生活をする...
寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
...何かの候補者であることを実質的に放擲して...
戸坂潤 「技術の哲学」
...自然哲学としての資格を進んで放擲した処にその重大な特色を有っている...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...その大部分がすでに銘々のやり方で夫を放擲する工夫を始めていた処だったので...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...およそ世に仕事を放擲(ほうてき)するくらい危険なことはない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...いっそ放擲(ほうてき)して自分の身をば他人のようにその果敢(はか)ない行末(ゆくすえ)に対して皮肉な一種の好奇心を感じる事すらある...
永井荷風 「日和下駄」
...あなたに対する私のこの義務を放擲(ほうてき)するところでした...
夏目漱石 「こころ」
...残りなく自己を放擲(ほうてき)した...
夏目漱石 「それから」
...一切を放擲(ほうてき)してしまったかも知れなかった...
夏目漱石 「それから」
...別段何の理由もなくさつぱりとこの仕事を放擲してしまひました...
牧野信一 「趣味に関して」
...この壮大な天然を放擲(ほうてき)して置いてはいけない...
柳田国男 「雪国の春」
...鎌倉放擲に一致した...
吉川英治 「私本太平記」
...人はその一切の智慧を放擲(ほうてき)して嬰児(えいじ)のこころに帰ったときに...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...何ゆえに直ちに自余の価値を放擲(ほうてき)しないか...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...身心を放擲した人には可能となるであろう...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...しかし身命を放擲して野獣の餓えを充たした仏の心情は...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...しかし道元の説く慈悲は身心を放擲したものの慈悲である...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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