...軍隊語を放擲して自分の言葉で話し出した...
新井紀一 「怒れる高村軍曹」
...現在の好意的な中立の態度を放擲(ほうてき)して逆に露西亜(ロシア)に傾いて行ったら...
太宰治 「惜別」
...ただこのままに放擲(ほうてき)してキャンプへ引き揚げてしまうということが...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...無論僕は一切を放擲して再びダンニソープに向けて出発したさ...
コナンドイル 三上於莵吉訳 「グロリア・スコット号」
...自然科学は神秘化される(因果律の放擲)...
戸坂潤 「技術の哲学」
...科学的説明を放擲して了っていることになるわけである...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...生命過程の物理学的化学的説明を多少とも根本的に放擲しようとしたのは十八世紀のフランスに於ける生気論者から始まった(Bordeu, Barthez, Chaussier, L. Dumas など*)...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...機械論の必然性を単純に放擲することに帰着する...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...その大部分がすでに銘々のやり方で夫を放擲する工夫を始めていた処だったので...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...君今学業を放擲(ほうてき)してかかる邪道に踏み迷はば他日必ず後悔臍(ほぞ)をかむ事あらん文筆を好まば唯正業の余暇これをなして可なりかつはまたわれは尾崎や川上とは異なりてかの人々の如く多く門生を養ひ教ふるの煩(はん)に堪(た)へざるものなり...
永井荷風 「書かでもの記」
...女髪結(おんなかみゆい)の亭主で大工の本職を放擲(うっちゃ)って馬鹿囃子(ばかばやし)の笛ばかり吹いている男であった...
永井荷風 「伝通院」
...あなたに対する私のこの義務を放擲(ほうてき)するところでした...
夏目漱石 「こころ」
...一時は何も彼も放擲してそれの水夫になつて働いたことがあるといふ父親は...
牧野信一 「雪景色」
...無意義(むいぎ)だ………もう何も彼(か)も放擲つて了はうかしら!穴籠(あなごもり)してゐると謂や...
三島霜川 「平民の娘」
...新九郎は大望を放擲(ほうてき)し...
吉川英治 「剣難女難」
...自ら彼らの足もとへ放擲(ほうてき)なさろうとしますか」「でも...
吉川英治 「三国志」
...鎌倉放擲に一致した...
吉川英治 「私本太平記」
...自己放擲という点ではむしろ後者の方が徹底的であると言えよう...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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