...それをまたその人々の飼犬らしい、毛色のいい、猟虎(らっこ)のような茶色の洋犬(かめ)の、口の長い、耳の大きなのが、浪際を放れて、巌(いわ)の根に控えて見ていた...
泉鏡花 「悪獣篇」
...もう釘づけになって艦橋から放れない...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...……いつの間にか一夜は明け放れてしまったと見える...
海野十三 「四次元漂流」
...どこか人間放れのした...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...タカが一匹の放れ馬のために...
中里介山 「大菩薩峠」
...放さうとしても逆さに生えた刺なのですぐには放れぬ...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...親に放れた小僧ッ子がグレたを叱るは少し無理...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...斯ういふ現実放れのした歌は...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...主屋は放れた小高い処に建てられて居り...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...蜘と蜂は一かたまりになつて、私のぢき手前三尺とも隔たらぬ地上に落ちて、ぢき放れた...
横瀬夜雨 「べつ甲蜂」
...彼はまだ妻から放れることの出來ない種々な感じ...
横光利一 「悲しみの代價」
...前から俺は俺の友と一人放れる毎に自分の臆病な警戒心がたまらなく不快であつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...此の前から一人友達から放れる度にいづれ總ての者が自分から放れて了ふときが來るだらうと思つてゐた...
横光利一 「悲しみの代價」
...僕から放れてひとり行っちゃ...
横光利一 「上海」
...もう足など地から放れて飛び流れている一行の有様だった...
横光利一 「旅愁」
...三人は暫く黙ってそれぞれ一人ずつ放れたまま歩いた...
横光利一 「旅愁」
...もう久慈から放れることが出来ないらしかった...
横光利一 「旅愁」
...牡丹の崩れた葩の白さがなお追いかけて来て放れなかった...
横光利一 「旅愁」
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