...立っていれば坐っている者の鼻さきを、袖が撫でる...
石川欣一 「山を思う」
...顔を出したら……」と沢屋は禿げ上った額をつるりと撫でるようにしてソフト帽をかぶり自転車に片脚をかけて...
犬田卯 「瘤」
...やさしく私の肌を撫でる...
豊島与志雄 「白木蓮」
...「それほどでもねえのさ」と顋(あご)を撫でるところなどは...
中里介山 「大菩薩峠」
...まだ頤なんか撫でるには早いよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...若旦那を窮命させる心持さえ通ればよかったんで」番頭の宗助は実直らしい額を撫でるのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...香ばしい息が八五郎の無精髯(ぶしやうひげ)の頬を爽(さはや)かに撫でるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長んがい顎(あご)を撫でる八五郎です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...薄氣味惡さうに撫でるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...みよ すべての美しい寢臺の中で 娘たちの胸は互にやさしく抱きあふ心と心と手と手と足と足とからだとからだとを紐にてむすびつけよ心と心と手と手と足と足とからだとからだとを撫でることによりて慰めあへよこのまつ白の寢臺の中ではなんといふ美しい娘たちの皮膚のよろこびだなんといふいぢらしい感情のためいきだ...
萩原朔太郎 「青猫」
...田面には撫でるやうな微風が吹き出して...
北條民雄 「無題※[#ローマ数字1、1-13-21]」
...水を撫でる「主よ...
牧逸馬 「運命のSOS」
...二人は空中に光のそよぐ岸を撫でる木の葉のさざなみのような不思議なうつくしい歌をきいた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...撫でるといえば、何時か或る彫刻家が、私の顔を彫ってくれたので、早速撫でてみると、でこぼこしている様に感じたので、これは私の顔に似ているかと家の者にたずねると、そっくりだといわれたのには案外に思ったことがあった...
宮城道雄 「雨夜の駅」
...そんなときは一層やさしく撫でるように慰めてくれるのであった...
室生犀星 「幼年時代」
...撫でるとまだ躰温が高く感じられるが...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...ぬるい煙が顔を撫でる...
吉川英治 「親鸞」
...何か――』『これですか』彼は痩(や)せた手で顔を撫でると...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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