...柏斎は鉱気(かなけ)くさい手のひらで一度ゆつくりと顔を撫でおろした...
薄田泣菫 「価」
...顔一面を撫でた後ちに...
田中貢太郎 「あかんぼの首」
...頸すぢを撫でゝやつたりすると...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...男の児の五歳になるのを始めは頻(しき)りに可愛がって抱いたり撫(な)でたり接吻(せっぷん)したりしていたが...
田山花袋 「蒲団」
...火鉢の縁を撫でながら「然し...
直木三十五 「南国太平記」
...二十四、五、典型的な若旦那で、撫で肩の色白、肉の薄い、氣の弱さうな、虫も殺せさうもない男です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――當時は撫でつけて捲いたのや...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...その手を胸のあたりからだして顎のあたりを撫廻すと...
正岡容 「吉原百人斬」
...片手に例の顎の逆か撫で...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...素早い愛の感づきを苦笑し乍ら顎を撫でた...
宮本百合子 「斯ういう気持」
...れいのはげのところを撫でてやると鉄は悲しさうに首をさしのべてゐた...
室生犀星 「鉄の死」
...」姉は私の頬を撫でて...
室生犀星 「幼年時代」
...祖母はお雪やここへというような風に、目つきで娘を傍(そば)へ招いて、いろいろなことを尋ねたり語ッたりしていたが,その声の中には最愛(いとおし)可愛(かあい)という意味の声が絶えず響いていたように思われた,そして祖母は娘が少(ちい)さかッた時のように今もなお抱いたり、撫(な)でたり、さすッたりしたいという風で、始終娘の貌(かお)をにこにことさも楽しそうに見ていたが,娘も今は十八の立派な娘ゆえ、さすがにそうもなりかねたか、ただ肩に手を掛けて,「ほんに立派な娘におなりだの」と言ッたのみであッた...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...家かい?」先生は手の甲で赤髭を撫でた...
矢田津世子 「凍雲」
...マダムの竜子はその背中を優しく撫でてやった...
夢野久作 「継子」
...云い難(にく)そうに頬を撫でた...
吉川英治 「新書太閤記」
...そよそよと草を撫(な)でてきた模様に...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...軽く撫(な)でている間に...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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