...揉み上げにしみこんだ煙草の匂は羊肉の匂のようにぷんと来るであろう...
芥川龍之介 「格さんと食慾」
...揉みに揉みぬかれ...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...腰を揉みながら立上ると...
大阪圭吉 「三狂人」
...そばにゐる友達は一人で気を揉みました...
薄田泣菫 「茶話」
...いきなり揉(も)みくしゃに揉みほごすと...
徳田秋声 「仮装人物」
...第二 べた雪の連想からわたしが迷いの闇のなかから火のごとき信念にみちた言葉でその淪落の魂をひきだしたときお前は深い悩みにみちて双の手を揉みしだきつつ身を囲んでいる悪趣を呪ったそうして追憶の鞭をふるって忘れやすき良心を罰しつつお前は過ぎこし方の身の上を残らずわたしに語ってくれたと...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...だから揉み療治などと云ってそう無闇と軽蔑すべきものではないだろう...
中谷宇吉郎 「痛みの効用」
...――私は毎年春先になつて、物の芽(め)が育つ頃になると、朝から晩まで畑に出ては、兩手で黒い土を掴(つか)んで、揉みほぐしたり、叩いたり、撫でたり、嗅いだり、時々は嘗(な)めても見て居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...折角のお近が談義は揉みくちやにしてのけられたり...
樋口一葉 「花ごもり」
...当時の政府は事件を揉み消す選択をしたかもしれないが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...火はすぐに揉み消すことが出来た...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...体と体との揉み合ふ動物的な重い音とが続くのであつた...
室生犀星 「鉄の死」
...痴情をもって此の人のように一生を女のために揉み消すことも...
室生犀星 「陶古の女人」
...ところどころは聞えて来たんです」「それを云ってみろ」おみやはまたこめかみを揉み...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...それには持って来いのがあります」と媒介所でも揉み手をして彼女に一人の男を紹介した...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...この話の長びくことを揉み消した...
横光利一 「旅愁」
...一揉みに駆けちらせば...
吉川英治 「三国志」
...また挟撃(きょうげき)に揉みつつまれ...
吉川英治 「新書太閤記」
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