...斷々(きれ/″\)な事が雜然(ごつちや)になつて心を掠める...
石川啄木 「菊池君」
...上に立つ人の鬢(びん)を掠める...
石川啄木 「鳥影」
...結婚する前に一度娘を掠めると云ふやうな風習があるのも...
伊藤野枝 「嫁泥棒譚」
...輝きのないそして見るからに毒々しい光がどんよりと浪と雲の上を掠めるのであつた...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...飛行機がまうへを掠める...
種田山頭火 「旅日記」
...Bはその傍(かたはら)をそつと掠めるやうにして向うの方へと行つた...
田山録弥 「犬」
...Kはその傍を掠めるやうにして下りて行つた...
田山録弥 「海をわたる」
...路傍の百姓家の裸蝋燭が逸早く掠めるやうにして通つて行つたりした...
田山録弥 「百日紅」
...杜宇(ほとゝぎす)が人を掠めるやうにして鳴いた...
田山録弥 「スケツチ」
...彼の心をふと掠めることがあった...
豊島与志雄 「子を奪う」
...肉の花ぢやよ泥棒みてエにおめへを掠める風に笑へだ御苦労様にも...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...掠めるやうな当惑の色を眼にたゞよはせてゐた...
林芙美子 「瀑布」
...俊寛的な孤獨な氣持ちが心を掠める...
林芙美子 「屋久島紀行」
...こやつこそ財宝を掠めるために人間の姿に化けた悪魔で...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...ぼんやりと、耳を掠める風聞...
宮本百合子 「アワァビット」
...さういふ時に私の心を掠める古い記憶はなつかしい...
三好達治 「池のほとりに柿の木あり」
...ベルドオヌの全面を掠めるやうにして...
吉江喬松 「山岳美觀」
...今でもその腐った藁のような土の臭いなどが鼻を掠めることがあると...
若杉鳥子 「雨の回想」
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