...唯意識の表面を掠めるのみで...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...断々(きれぎれ)な事が雑然(ごつちや)になつて心を掠める...
石川啄木 「菊池君」
...上に立つ人の鬢(びん)を掠める...
石川啄木 「鳥影」
...結婚する前に一度娘を掠めると云ふやうな風習があるのも...
伊藤野枝 「嫁泥棒譚」
...頭を掠める旅の印象を追っていると...
上村松園 「中支遊記」
...輝きのないそして見るからに毒々しい光がどんよりと浪と雲の上を掠めるのであつた...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...Kはその傍を掠めるやうにして下りて行つた...
田山録弥 「海をわたる」
...杜宇(ほとゝぎす)が人を掠めるやうにして鳴いた...
田山録弥 「スケツチ」
...彼の心をふと掠めることがあった...
豊島与志雄 「子を奪う」
...苦しい視界を掠める...
中村地平 「悪夢」
...掠めるやうな当惑の色を眼にたゞよはせてゐた...
林芙美子 「瀑布」
...横鬢(びん)を掠めるくらいのところですんでいたはずで...
久生十蘭 「湖畔」
...その背中を掠めるやうにして過ぎ去る...
堀辰雄 「手紙」
...君たちに陣地を棄てよとジュネーヴから命じようとよし!妥協した帝国主義者共の大軍が君たちに襲ひ掛からうと君たち第十九路軍の背後には中国ソヴェート政府が厳存し君たちの前には全世界の同志の差し出す無数の腕がある歩廊に整列しスナップを踏んでおれたちは乗車するおれの頭を掠めるは残された同志あの路地の屋根裏でKは今夜もガリ版を切りDは円い眼鏡の奥から...
槇村浩 「出征」
...にわかにプーンと掠める花麝香のような匂いがあった...
正岡容 「寄席」
...ぼんやりと、耳を掠める風聞...
宮本百合子 「アワァビット」
...その鈍く光る面をチラリと自分の横顔が掠める...
宮本百合子 「顔を語る」
...ベルドオヌの全面を掠めるやうにして...
吉江喬松 「山岳美觀」
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