...唯意識の表面を掠めるのみで...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...断々(きれぎれ)な事が雑然(ごつちや)になつて心を掠める...
石川啄木 「菊池君」
...いや大いに掠める...
種田山頭火 「行乞記」
...Bはその傍(かたはら)をそつと掠めるやうにして向うの方へと行つた...
田山録弥 「犬」
...Kはその傍を掠めるやうにして下りて行つた...
田山録弥 「海をわたる」
...路傍の百姓家の裸蝋燭が逸早く掠めるやうにして通つて行つたりした...
田山録弥 「百日紅」
...彼の心をふと掠めることがあった...
豊島与志雄 「子を奪う」
...肉の花ぢやよ泥棒みてエにおめへを掠める風に笑へだ御苦労様にも...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...苦しい視界を掠める...
中村地平 「悪夢」
...掠めるやうな当惑の色を眼にたゞよはせてゐた...
林芙美子 「瀑布」
...俊寛的な孤獨な氣持ちが心を掠める...
林芙美子 「屋久島紀行」
...一瞬満ちたりた食後の幻想が僕を掠めるのだつた...
原民喜 「飢ゑ」
...にわかにプーンと掠める花麝香のような匂いがあった...
正岡容 「寄席」
...ぼんやりと、耳を掠める風聞...
宮本百合子 「アワァビット」
...さういふ時に私の心を掠める古い記憶はなつかしい...
三好達治 「池のほとりに柿の木あり」
...複雑な表情が掠める...
矢田津世子 「凍雲」
...船乘り達の日頃敵のやうにしてゐる税關の役人等の目を掠めるあらゆる工夫を論じ合つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...今でもその腐った藁のような土の臭いなどが鼻を掠めることがあると...
若杉鳥子 「雨の回想」
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