...苔香園(たいこうえん)の表門からそっと家を抜け出る誘惑に打ち勝った...
有島武郎 「或る女」
...もちろん時限以内のすこぶる短時間で艦外へ抜け出るようになっていること...
海野十三 「不沈軍艦の見本」
...諸君のごとくにはそこから抜け出ることのできない女である...
大杉栄 「男女関係について」
...だれも気をつけていない時に何とも言わずに無断でこっそり抜け出ることであった...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...やがてはその習字臭を超脱した自己の字にまで抜け出る事だろうと考えてみずから慰めるのが常である...
高村光太郎 「書について」
...すぽりと貝殻から抜け出ると...
太宰治 「親友交歓」
...その人の考え一つで抜け出ることができるというんだねえ」「そうさ」「つまりそうすると...
田山花袋 「田舎教師」
...吾々の社会心理学――イデオロギー論――にまで抜け出ることが出来るだろう...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...この論文は今のこの水準を高め或いは抜け出る筈であって...
戸坂潤 「思想としての文学」
...あと言えばさと鞘(さや)を抜け出るばかりに置いてあるのが...
中里介山 「大菩薩峠」
...緩く挾んでおけば抜け出るし...
中谷宇吉郎 「科学は役に立つか」
...混迷して来る気持を整理することが出来ず、すたすたと足を早め、煙につつまれたような気持で歩いているうちに、ごたごたとした多くの想念の中から、抜け出るように、今に見て居れ、という一つの言葉だけが、火玉のように彼の身内に飛びあがって来た...
火野葦平 「糞尿譚」
...葡萄畑を抜け出るとすぐその先に火葬場があつた...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...まはり道をして、森を抜け出る...
牧野信一 「駆ける朝」
...お婆さん今日もやってるなとにが笑いしながら垣根の切れ目からソッと自分の内の農園の方に抜け出るとお父さんは案の通り向うのコヤシだめで怒った顔をしてかきまわしていてズッとこっちの垣根のそばでは昇さんのお母さんの...
三好十郎 「詩劇 水仙と木魚」
...自分を抜け出るのは...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...私が切支丹屋敷を抜け出る時に...
吉川英治 「江戸三国志」
...怪しい頭巾男が明け方抜け出る姿を目撃したことまですっかり並べたてて忠告した...
吉川英治 「新・水滸伝」
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