...懶(ものう)い子守唄をうたつてゐる...
芥川龍之介 「かちかち山」
...わしは此懶い幻惑の力に圧へられるのを免れようとして...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...それでもまだ懶(ものう)げな最初の調子を失わないで...
芥川龍之介 「妖婆」
...我等の懶惰の故に...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...今まで続けていた沈黙の惰性で第一口をきくのが物懶(ものう)かったし...
有島武郎 「或る女」
...懶(ものう)いチクタクの音を響かせてゐる柱時計の下で...
石川啄木 「鳥影」
...懶(たゆ)げに被衣(かづき)引延(ひきは)へて...
薄田淳介 「白羊宮」
...所收――「懶惰の歌留多」「古典風」「ろまん燈籠」「貨幣」「隨筆―海・津輕地方とチエホフ・返事」この集には...
太宰治 「『ろまん燈籠』序」
...認識の一等幼稚な或いは一等懶惰な場合に他ならない...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...懶(ものう)げな田舎(いなか)はまどろんでいる...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そのうちに僕は凡てが懶くなってくる...
豊島与志雄 「春の幻」
...しかし疎懶(そらん)なるわたくしは今日の所いまだその蒐集(しゅうしゅう)に着手したわけではない...
永井荷風 「向嶋」
...いつか我が懶惰(らんだ)の習ひにや馴れ染めけん...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...彼(かれ)はどうしても懶(だる)い身體(からだ)を運(はこ)ばねばならなかつた...
長塚節 「土」
...懶(ものう)げにひとつところで足踏をしてゐるだけであつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...私は宗教の真理に懶惰(らんだ)であったのではない...
柳宗悦 「工藝の道」
...低き賃銀、薄き利潤、倹素な衣食に甘んじつつ過度の勤労に服する支那人に対して、一般に生活の向上した日本人が競争し得ないのは明かな事実ながら、猶併し予等は殖民地の邦人気質が概して下級労働を嫌忌し、懶惰、尊大、贅沢、虚栄の中に不当の利潤を求めて其日を送る風のあるのを否み難い...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...ツイ庭さきの滝のそばまで下りてゆくのも懶かったが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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