例文・使い方一覧でみる「懐」の意味

...――つまり懐郷の悲しみは... ――つまり懐郷の悲しみはの読み方
芥川龍之介「神神の微笑」

...ほッと酒が色に出ると、懐中物を懐へ、羽織の紐を引懸けて、ずッと立った...
泉鏡花「婦系図」

...今度はいよいよ夫がどうしてその肥料の金の工面をしたかに疑いを懐かざるを得なかった...
犬田卯「米」

...木村氏は鞄の中から懐中電灯のような細長いものを出して... 木村氏は鞄の中から懐中電灯のような細長いものを出しての読み方
海野十三「暗号数字」

...懐から半紙の上に一つの指紋を捺（お）した... 懐から半紙の上に一つの指紋を捺したの読み方
江戸川乱歩「Ｄ坂の殺人事件」

...「毎年十二月二十五日に人の懐中物を掏（す）り取るにしちゃ... 「毎年十二月二十五日に人の懐中物を掏り取るにしちゃの読み方
ディッケンス　Dickens 森田草平訳「クリスマス・カロル」

...懐のなかも淋しかった... 懐のなかも淋しかったの読み方
徳田秋声「足迹」

...懐しさを持っているものだ... 懐しさを持っているものだの読み方
外村繁「夢幻泡影」

...「懐が温かけりゃあ腹の底まで温くなるもんだ... 「懐が温かけりゃあ腹の底まで温くなるもんだの読み方
豊島与志雄「微笑」

...懐疑の薄明は彼を苦しめた... 懐疑の薄明は彼を苦しめたの読み方
ビクトル・ユーゴー　Victor Hugo 豊島与志雄訳「レ・ミゼラブル」

...そうして全く動けないようにして、また比目魚を置き返すように表を返して、大道の真中へ、置きっ放し、「誰も手をつけると承知しねえぞ」こういって山崎譲は、がんりきから剥ぎ取った着物、持物、その懐中物、胴巻に至るまで、一切まとめて小脇にかいこみ、ふらりとその場を行ってしまいます... そうして全く動けないようにして、また比目魚を置き返すように表を返して、大道の真中へ、置きっ放し、「誰も手をつけると承知しねえぞ」こういって山崎譲は、がんりきから剥ぎ取った着物、持物、その懐中物、胴巻に至るまで、一切まとめて小脇にかいこみ、ふらりとその場を行ってしまいますの読み方
中里介山「大菩薩峠」

...そうすれば彼の懐疑は一生徹底的に解ける日は来なかったでしょう...
夏目漱石「現代日本の開化」

...懐炉（かいろ）を背負って憮然と庭を眺めていると... 懐炉を背負って憮然と庭を眺めているとの読み方
久生十蘭「湖畔」

...語りながら懐旧の念に耐えなかった... 語りながら懐旧の念に耐えなかったの読み方
火野葦平「花と龍」

...性格までがあたかも心に一定の目的を懐ける人のように強固になった...
ニコライ・ゴーゴリ平井肇訳「外套」

...立止って懐から位牌を出してチョッと見ていた後... 立止って懐から位牌を出してチョッと見ていた後の読み方
三好十郎「天狗外伝　斬られの仙太」

...その当時の事を後年の奈良原翁は筆者に追懐して聞かせた... その当時の事を後年の奈良原翁は筆者に追懐して聞かせたの読み方
夢野久作「近世快人伝」

...ひそかに本懐として死なれたにちがいない... ひそかに本懐として死なれたにちがいないの読み方
吉川英治「新書太閤記」

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