...往来の左方(ひだり)だと記憶している...
関根黙庵 「枯尾花」
...自分は、ツネ子(といったと覚えていますが、記憶が薄れ、たしかではありません...
太宰治 「人間失格」
...彼女の記憶もきれいに抹殺されている...
田中英光 「さようなら」
...最後に誰だかこんな事を云ったのを記憶(おぼ)えて居る...
谷崎潤一郎 「The Affair of Two Watches」
...楽しい追憶(おもいで)に耽っているようであった...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...彼が記憶している限りでは...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...以て自己の存在を社会に記憶せしむるを平生の用意と為すもの是れ一...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...記憶して下さい、あなたの知っている私は塵(ちり)に汚れた後(あと)の私です...
夏目漱石 「こころ」
...従って酔中の行動に就いては覚醒後全然記憶の無い場合が往々有ったのであります――益々好色的な気分に成って未だ当(あて)の定らない裡に最早や其の牛屋に坐って居る事に怺(こら)えられなく成り...
西尾正 「陳情書」
...もう一度當夜の記憶を呼び戻さうとしたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私はそのときの彼女の顏付を憶えてゐる――それは實際優美で目の覺めるやうなものであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...どうやら常態の時よりも「非常時(キチガイ)」である間の彼の方が遊び相手には至極おもしろかつたような記憶が...
牧野信一 「気狂ひ師匠」
...明治画壇の物故した記憶すべき画家をあげて貰ったのに...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...家々の祖霊が海から還(かえ)ってくるという記憶はよほど幽(かす)かになっているけれども...
柳田国男 「海上の道」
...お前のそうした痛々しい追憶を冷笑し得(う)る者がどこに居るのだ……...
夢野久作 「木魂」
...ある者は羨望の表情をしていたのを久慈は記憶している...
横光利一 「旅愁」
...富士の景色で私の記憶を去らぬのが今までに二つ三つあつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...あるものはただ少年時の感激によってのみ記憶され...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
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