...憶面(おくめん)もなく謂うごときに至っては言語同断と謂わざるを得ん...
泉鏡花 「海城発電」
...噴煙の達した高さは目撃者の仰角の記憶と山への距離とから判断してやはり約十キロメートル程度であったものと推算される...
寺田寅彦 「小爆発二件」
...このワシントンの「熱波」の記憶にはこのデヴィルド・クラブとあのニグロの顔とが必ずクローズアップに映出されるのである...
寺田寅彦 「夏」
...実験を授ける効果はただ若干の事実をよく理解し記憶させるというだけではなく...
寺田寅彦 「物理学実験の教授について」
...これらの人達を尚更(なおさ)ら憶(おも)い起さずにいられない...
徳永直 「戦争雑記」
...どういう旗を掲げていたかは今記憶にないが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...むしろぼんやり憶い起すことさえ出来ます――わたしは匕首を突き込むと同時に...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...今に記憶して居る君も少くないことでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...彼には死と焔(ほのお)の記憶があった...
原民喜 「永遠のみどり」
...骨肉や友達や女の記憶も...
原民喜 「透明な輪」
...四十七士が討入の装束で自転車に乗って往来を走って行ったのも憶い出す...
原民喜 「広島の牧歌」
...……あの夜の記憶が...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...一番とおいところに――われから後退(あとずさ)りして行ったようなものに玉目三郎がいたと憶(おも)った...
本庄陸男 「石狩川」
...但し記憶の誤があるかも知れない...
森鴎外 「俳句と云ふもの」
...唐突なその劬り深さから遠い記憶が徐かに甦えってきて...
矢田津世子 「女心拾遺」
...私はことにはっきりその人のことを憶えている...
柳田国男 「故郷七十年」
...この記憶をどのように仕舞い隠して言葉を人々に言わねばならぬか...
横光利一 「欧洲紀行」
...彼の日々見せつけられた暴徒の拡った黒い翼の記憶の底から...
横光利一 「上海」
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