...憂き悲しいことについては勿論百分の一だも語りあわないで...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...物憂き羊小舍(ひつじごや)のかどに...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...憂き世を離れてこんな山の奥に隠れ住み...
太宰治 「右大臣実朝」
...そんな憂き目に逢ったかのように...
太宰治 「葉桜と魔笛」
...「憂きも一と時うれしさも思ひさませば夢候(そろ)よ」と...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...人住むところ行くところ嘆と死とのあるところ歌と樂(がく)とのあるところ涙、悲み、憂きなやみ笑、喜び、たのしみと互に移りゆくところ、都大路の花のかげ白雲深き鄙の里白波寄する荒磯邊、無心の穉子(ちご)の耳にしも無聲の塚の床にしも等しく響く暮の鐘...
土井晩翠 「天地有情」
...甍漏る音の雨さびて憂きわれのみに世死したり...
夏目漱石 「鬼哭寺の一夜」
...此子(これ)が為(ため)、我が為、不自由あらせじ、憂き事のなかれ、少しは余裕もあれかしとて、朝は人より早く起き、夜(よ)はこの通り更けての霜に寒さを堪(こら)へて、『袖(そで)よ、今の苦労は愁(つ)らくとも、暫時(しばし)の辛棒(しんぼう)ぞしのべかし...
樋口一葉 「軒もる月」
...ソレコソ如何(いか)なる憂き目に逢(あっ)て居るか知れない...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...失望の憂き目を見るだけだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...いろいろ憂きくるしみを實際に知つて來たからなのでせう...
水野仙子 「響」
...わたしがいつかあなたに憂き目を見させたことがありましたかね...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...今から憂き身を窶(やつ)し合うなど...
吉川英治 「私本太平記」
...全軍殲滅(せんめつ)の憂き目に遭う...
吉川英治 「新書太閤記」
...今までのような憂き目はもう見せまい...
吉川英治 「源頼朝」
...落人(おちゅうど)の憂き目にあう惧(おそ)れは多分にある...
吉川英治 「宮本武蔵」
...憂き目の底におろうとも...
吉川英治 「宮本武蔵」
...果然ドーブレクは古塔の一室に惨い拷問の憂き目を見ていた...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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