...慮外ながら天狗のような...
芥川龍之介 「邪宗門」
...このたびの慮外の仕打ち...
太宰治 「右大臣実朝」
...あの言葉、この言葉、三十にちかき雑記帳それぞれにくしゃくしゃ満載、みんな君への楽しきお土産(みやげ)、けれども非運、関税のべら棒に高くて、あたら無数の宝物、お役所の、青ペンキで塗りつぶされたるトタン屋根の倉庫へ、どさんとほうり込まれて、ぴしゃんと錠(じょう)をおろされて、それっきり、以来、十箇月、桜の花吹雪より藪蚊(やぶか)を経て、しおから蜻蛉(とんぼ)、紅葉も散り、ひとびと黒いマント着て巷(ちまた)をうろつく師走にいたり、やっと金策成って、それも、三十にちかき荷物のうち、もっとも安直の、ものの数ならぬ小さい小さいバスケット一箇だけ、きらきら光る真鍮(しんちゅう)の、南京錠ぴちっとあけて、さて皆様の目のまえに飛び出したものは、おや、おや、これは慮外、百千の思念の小蟹、あるじあわてふためき、あれを追い、これを追い、一行書いては破り、一語書きかけては破り、しだいに悲しく、たそがれの部屋の隅にてペン握りしめたまんま、めそめそ泣いていたという...
太宰治 「二十世紀旗手」
...ただしすなわち pa=∞なる場合の解を考慮外に置く...
レオン・ワルラス Leon Walras 手塚壽郎訳 「純粋経済学要論」
...慮外千万な出来事でもありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...慮外(りょがい)ものと...
長谷川時雨 「九条武子」
...辻に立ちて御慮外を申もありけり...
樋口一葉 「たけくらべ」
......
正岡子規 「古池の句の弁」
...それと仙太が縁側に飛上って奥の吉村と睨み合って立ったのとが殆ど同時)吉村 慮外! 誰だっ? 名乗れ!仙太 井上さん...
三好十郎 「斬られの仙太」
...御令嬢は恙(つつが)なく我輩の掌中に在之候(これありそうら)えば慮外ながら...
山下利三郎 「誘拐者」
...「慮外ながら物申す」と声かけた...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...くだらぬ命をむざむざ捨てさす訳には行かぬぞ」「慮外な言葉...
吉川英治 「剣難女難」
...まったくもって、この慮外は、我を忘れた不埒(ふらち)にございました...
吉川英治 「私本太平記」
...慮外なまねすると...
吉川英治 「新書太閤記」
...何が慮外か」と、正視した...
吉川英治 「新書太閤記」
...慮外な振舞いをなすと...
吉川英治 「親鸞」
...「この慮外者めが」痩せた僧のほうが...
吉川英治 「親鸞」
...――慮外である、と冷酬(れいしゅう)して答えざるように思われた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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