...愈憂鬱にならずにはいられなかった...
芥川竜之介 「歯車」
...殊に平田先生のやうに真剣に翻訳することは愈(いよいよ)容易ならぬ仕事である...
芥川龍之介 「平田先生の翻訳」
...内的要求より出發するの抽象は愈具象性を強烈にするの作用である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...六―八)十七 某大學の卒業生と別るゝ辭諸君と教場で逢ふのも今日が愈最後である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...機愈熟したりと見え服部檢事は各署に到りて密々打合を爲し...
石川啄木 「日本無政府主義者陰謀事件經過及び附帶現象」
...甲田は愈(いよいよ)俺は訛(だま)されたと思つた...
石川啄木 「葉書」
...父も母も心の思ひは愈亂れるのである...
伊藤左千夫 「奈々子」
...愈々(いよ/\)出世の手蔓(てづる)が出来かかつたぞ...
薄田泣菫 「茶話」
...貴方(あなた)も愈(いよ/\)深(ふか)く考慮(かんがへ)るやうに成(な)つたならば...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...而も先生の演説の拙(まず)さ加減が世の常の雄弁にもまして敬愛されてゐたのだから愈貴かつた...
辰野隆 「浜尾新先生」
...寧ろ低賃金と愈々の低コストの方が一層増しではないだろうか...
戸坂潤 「読書法」
...天囚君は三十年も大阪に居つて愈此度大阪を去ることゝなつた...
内藤湖南 「大阪の町人と學問」
...此語源説が愈(いよ/\)尤(もつとも)らしく聞えて来る...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「十三時」
...愈いよ名声を加えたが...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...愈々慶應義塾に入り度いから...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...時正に午後陰雲起て雷雨灑来(そゝぎきたり)数日にして乾渇を愈(いやす)がごとし...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...心の僻(ひが)み愈々増(まさ)り募(つの)るのみなりしが...
夢野久作 「白くれない」
...〔中略〕若(も)し出陣したとしても、あんな軽輩としてではなかったろう――云々)大兄にこういう手数まで煩(わずら)わしたかと思うと、愈、相すまない気がするが、本位田姓は、あの地方に多い特有な姓氏であり、中位田(ちゅういでん)とか小位田(しょういでん)とかいう官田の称号が姓氏に変化したもので、滅多にない名だけに、すぐおれの祖先を書いて怪(け)しからぬと思われたのであろうが、僕が大兄の家の系図を覗いたことはないし、古書にもない又八などという人物を、幾ら大兄が系図やお手許の古書を探したって、出てくる筈もないことは凡(およ)そわかりきったことである...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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