...はては情慾さえもが...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...そのやうな極北の情慾は...
太宰治 「火の鳥」
...僕ハ義務ノ観念カラ強(し)イテ情慾ヲ駆リ立テテイヤイヤ彼女ノ要求ニ応ジテイルノデハ断ジテナイ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...情慾ヲ掻キ立テタ後デアッタシ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...中年の男女の爛れたような情慾はそこにない...
豊島与志雄 「春盲」
...また工面(くめん)のよい女優のツバメとやらになる情慾もない...
永井荷風 「申訳」
...種々の情慾は消滅するのであるが...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...その埋み火が、新(あらた)に薪(まき)を添えられて、燃えさかる情熱となったのは、綾麿が十七の年、声変りがして、鼻の下が薄黒くなって、理性と情慾と、信仰と迷信と、渦を巻いて五体を駈けめぐり始める頃でした...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...抑圧された情慾のハケ口が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...情慾の底に燃えているヒューマニチイだ...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...この密室の幕のかげをひそかに音もなくしのんでくる ひとつの青ざめたふしぎの情慾そはむしかへす麝香になやみくるしく はづかしく なまめかしき思ひのかぎりをしる...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...「くさつた蛤」「さびしい情慾」等は大抵同年代の作である...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...はじめおれはたぶん情慾だけの問題だとかんがえたのでスファシクス(巴里の公認女郎屋の名)へ出かけてみた...
久生十蘭 「黒い手帳」
...さなきだに人類の情慾は自(おの)ずから禁じ難きものなるに...
福沢諭吉 「日本男子論」
...同時に残忍な情慾を物語っていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...この願望の熾烈な火は自分の中に潜んでゐる卑しいものや涜神的な情慾や不純な想念やと戦ひ...
室生犀星 「愛の詩集」
...そんな面白味や情慾(じょうよく)が...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...その強い眼の美しさは怜悧と我ままと大膽と媚弄と僞瞞と情慾と巧利的な果斷とさうして間もなく數人の愛人を同時に巧に操縱するであらうと思はれるある不純な光りの萌芽を潛めてゐた...
横光利一 「悲しみの代價」
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