...ふと情慾をそそる様なその匂いは...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...ナオミはいつも私の情慾(じょうよく)を募らせるようにばかり仕向ける...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...クロニオーンの情慾をそゝり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...逆に襲って来た情慾(じょうよく)に眼が眩(くら)み...
富田常雄 「刺青」
...藤三は生れて始めて情慾に眼を潤(うる)ませた...
富田常雄 「刺青」
...たゞ蹠(あなうら)に踏む湿潤な苔類のひたむきな情慾を感じたのみだ...
富永太郎 「原始林の縁辺に於ける探険者」
...」「それは無論情慾のためでしょう...
豊島与志雄 「悪夢」
...強姦は多く情慾や興味や一時の気分から行われるだけで...
豊島与志雄 「悪夢」
...情慾がない時はおれは彼女を厭う...
豊島与志雄 「失われた半身」
...また工面(くめん)のよい女優のツバメとやらになる情慾もない...
永井荷風 「申訳」
...種々の情慾は消滅するのであるが...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...石竹と青猫みどりの石竹の花のかげに ひとつの幻の屍體は眠るその黒髮は床にながれて手足は力なく投げだされ 寢臺の上にあふむいてゐるこの密室の幕のかげをひそかに音もなくしのんでくる ひとつの青ざめたふしぎの情慾そはむしかへす麝香になやみくるしく はづかしく なまめかしき思ひのかぎりをしる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...情慾の強烈な快楽に飽満できないという寂しさである...
萩原朔太郎 「老年と人生」
...やはり情慾の道にかけましては...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...と野村は自分の内部にさざめき出した情慾の波を沈めにかかつたが...
北條民雄 「青い焔」
...情慾に動かされるからだ...
宮本百合子 「黄銅時代の為」
...この少女が間もなくこの巣窟の荒々しい情慾のやさしい鬼にならうとは...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...名利と情慾と相分れてついには乱世となるのであります...
山本周五郎 「夜明けの辻」
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