...華族と法律とを拵(こしら)へる事を情慾のやうに心得てゐる国家が...
薄田泣菫 「茶話」
...」「それは無論情慾のためでしょう...
豊島与志雄 「悪夢」
...中年の男女の爛れたような情慾はそこにない...
豊島与志雄 「春盲」
...一つは彼女の頽癈的な情慾を示して...
豊島与志雄 「立枯れ」
...この駒井の一旦の情慾から...
中里介山 「大菩薩峠」
...つまり抒情慾が比較的叙事慾よりも強かつたといふに過ぎない...
中原中也 「生と歌」
...自分の情慾とを持て餘して居る型の男――その脅(おび)えきつた姿を平次は眼の前に突きつけられたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ここをさまよひきたりてうれしい情(なさけ)のかずかずを歌ひつくすそは人の知らないさびしい情慾 さうして情慾です...
萩原朔太郎 「青猫」
...あまりに人間的情慾に充ちたところの...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...君の耳はそれを聽くか?久遠(くをん)のひと 佛陀よ!ある風景の内殼からどこにまあ! この情慾は口を開いたら好いのだらう...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...そのうへ情慾の言ひやうもありはしないしこんなにも切ない心がわからないの? お孃さん!輪と樹木輪の暦をかぞへてみればわたしの過去は魚でもない 猫でもない 花でもないさうして草木の祭祀に捧げる器物(うつは)や瓦の類でもない金でもなく 蟲でもなく 隕石でもなく 鹿でもないああ ただひろびろとしてゐる無限の「時」の哀傷よ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...なんたる絶望の光景だらう!わたしは魚のやうにつめたくなつて目からさうめんの涙をたらし情慾のみたされない いつでも陰氣な悶えをかんずるああこの噛みついてくる蠍(さそり)のやうにどこをまたどこへと暗愁はのたくり行くか...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...萎縮(ゐしゆく)した情慾を...
林芙美子 「浮雲」
...お前はそんな女の情慾を抱いて...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...と野村は自分の内部にさざめき出した情慾の波を沈めにかかつたが...
北條民雄 「青い焔」
...同時に残忍な情慾を物語っていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...*或時には余り朗らかとも云えぬ情慾を混えた夫婦の愛を経験して見ると親子の愛まして 自分と父との仲にあるような 父親の愛(いつ)くしみの微妙さを 思う...
宮本百合子 「五月の空」
...私はときたまの仕方のない情慾の他は、なにひとつ女に強制したのでもなく、その情慾すら、ほとんどは女への過剰なおつきあいの精神、目の前にいる相手への弱さから、いわば「強制」させられているのだ...
山川方夫 「愛のごとく」
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