...悔やみ言葉の間に出るのをしいてかみ殺すのが苦しそうであった...
伊藤左千夫 「奈々子」
...「到頭あのお若けえ書生さんも、お亡くなりなせえやしたか? そりゃまあ、お気の毒なこんで……さぞ親御(おやご)様も、お嘆きでござらっしゃりましょう」と朴直(ぼくちょく)そうな六十爺(おやじ)は、湖岸から半道あまりを駈(か)けつけて来た禿(は)げ頭の汗を押し拭(ぬぐ)いつつ、悔やみを述べる...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...向こうで述べるべき悔やみの言葉を宅(うち)から教わって暗記して行って...
寺田寅彦 「笑い」
...もう悔やみに行った帰りだという...
永井荷風 「写況雑記」
...どこからか悔やみ状が一枚来たらおしまいである...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...お悔やみかた/″\手伝いに来たのでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まっさきにお悔やみに行ったのはあたしなんだから...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...その時になってお悔やみになられることとなるのを恐れます...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...私は一生のうちにたった一度の死期をも失ってしまったような……」などとさえ悔やみ出していた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...自分の過失で切れてしまったと悔やみながらも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...王女御は身にしむ秋というものを理解したふうにお返辞をされたことすらお悔やみになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...彼は面を冠ってお悔やみかたがた手伝いにでも来ているに違いない...
森下雨村 「五階の窓」
...かりにも主人が家来にこんな箇条をつきつけられ、しかも這奴(しゃつ)の武力にここで屈するなどは」「無念は無念だが、ひとつ悔やみを、わしとそちとで、何度いってみても始まらぬ...
吉川英治 「私本太平記」
...……ふ、ふ、ふ」戦(いくさ)には勝ち誇ったが、祝氏(しゅくし)一族の側にすれば、独龍岡(どくりゅうこう)の花、一丈青の扈三娘(こさんじょう)を敵の手にゆだねた一事は、「ざんねんだ、千慮の一失」と、あとの悔やみを、地だんだにしたに違いなかろう...
吉川英治 「新・水滸伝」
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