...然し此男の悄然として居る事は事實だから仕樣がないのだ...
石川啄木 「雲は天才である」
...夢を見てゐる人の様に悄然(しよんぼり)とした髪も乱れた...
石川啄木 「鳥影」
...物思はし氣に悄然と坐つて裁縫(しごと)をしてゐたお利代は...
石川啄木 「鳥影」
...――あることはあるんだけれど――」と云って悄然と三越を出た...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「梟の眼」
...孤影悄然と本箱の上に置いてある八九歳の少女の椿子に対して居る自分を儚なんで...
高浜虚子 「椿子物語」
...悄然(しょうぜん)と袂(たもと)に顔をうずめて泣いているのであった...
田中貢太郎 「狢」
...私は其の部屋の鏡に映って居る二人の顔を見較べて孤影悄然たる自分の風采に耻入りました...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...芳子が低頭勝(うつむきがち)に悄然(しょうぜん)として後について来るのを見ると...
田山花袋 「蒲団」
...かく悄然と華麗なる兵車を附けて立ち留り...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...小夜子は悄然(しょうぜん)として帰る...
夏目漱石 「虞美人草」
...悄然(しょうぜん)として八丁堀から帰って来ると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...彼は悄然と坂の上に一人で立つてゐる...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...勅使河原静江は悄然とうなだれてしまった...
正岡容 「圓朝花火」
...帝(みかど)は悲しみに堪えがたくおなりになったふうで悄然(しょうぜん)としておしまいになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...悄然たるひとりの麗人の影だけがそこに取り残されていた...
吉川英治 「三国志」
...こんな悄然(しょうぜん)たる姿は彼ひとりだった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...それから、悄然と、どこへか落ちて行った...
吉川英治 「松のや露八」
...悄然(しょうぜん)と老衰した彼女の父が坐っていた...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
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