...実を云うと、自分の恋の打開(うちあ)け話を、書物にして衆人の目にさらすというのは、小説家でない私には、妙に恥しく、苦痛でさえあるのだが、どう考えて見ても、それを書かないでは、物語の筋道(すじみち)を失うので、初代との関係ばかりではなく、その外の同じ様な事実をも、甚(はなはだ)しいのは、一人物との間に醸(かも)された同性恋愛的な事件までをも、恥を忍んで、私は暴露(ばくろ)しなければなるまいかと思う...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...自分の恥を忍んで結ぶに至った...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...恥を忍んでまいりました」と...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「あの顔」
...恥を忍んで、返金すべく、N店老主人と対面、それから一杯、苦しい一杯ではあつた...
種田山頭火 「其中日記」
...……恥を忍んで、暮羊君の奥さんから五十銭玉一つ借りる、五日ぶりに酒を、三日ぶりに煙草を味つた...
種田山頭火 「其中日記」
...恥を忍んで一洵老の奥さんから米代少々借りる...
種田山頭火 「松山日記」
...胯下(こか)の恥を忍んで天下に大功を立てんと思う心洞察すべし...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...人のために忍びきれない恥を忍んでいる私をかわいそうだと思って下さいまし...
中里介山 「大菩薩峠」
...こうして恥を忍んで上りましたものか...
中里介山 「大菩薩峠」
...殿様のお家には二つとないまことのお血筋……そのお血筋がおいとしいために恥を忍んで上りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は、恥を忍んで、下男に己が毎夜の夢のことを告げた...
中島敦 「南島譚」
...さしあたって分担金を都合しなくてはならないのだが」恥を忍んで...
久生十蘭 「一の倉沢」
...あの老女は恥を忍んでそんなことはしない」「まったくだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...どうしてももう一度後に引返して恥を忍んでも「笈摺草紙」を買はなければならないと思ふ心持が強く起つた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...恥を忍んで開いて見ると...
宮地嘉六 「老残」
...恥を忍んで郷里に還(かえ)ってみると...
柳田国男 「山の人生」
...十樫は恥を忍んで...
山本周五郎 「さぶ」
...恥を忍んでおまえの家へゆきゆきした...
山本周五郎 「柳橋物語」
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