...然う被仰(おつしや)るからには有らうぢやありませんか? それを話して戴く譯にはいかないんですか?』『…………』『智惠子さん! ぼくがこれだけ恥を忍んで言つたのに...
石川啄木 「鳥影」
...恥を忍んでちらと見えた売子監督(フロア・ウォウカア)へ駈け寄った...
谷譲次 「踊る地平線」
...――今夜はどうしても飲まなければならないのだつた、引越祝と軽視すべきぢやない、結庵入庵の記念祝宴なのだ、しかも私は例によつて文なしだ、恥を忍んで、といふよりも鉄面皮になつて、樹明兄から五十銭銀貨三枚を借りる(返さなければ掠奪だ!)、街へ出て、鮹、蒲鉾、酒、煙草、葉書を買うて来る、二人でやつてゐるうちに、冬村君もやつてきて、三人で大に愉快にやつた、めでたしめでたし、万歳万歳...
種田山頭火 「其中日記」
...恥を忍んで、返金すべく、N店老主人と対面、それから一杯、苦しい一杯ではあつた...
種田山頭火 「其中日記」
...……恥を忍んで、暮羊君の奥さんから五十銭玉一つ借りる、五日ぶりに酒を、三日ぶりに煙草を味つた...
種田山頭火 「其中日記」
...決して左様な――」「恥を忍んで...
直木三十五 「南国太平記」
...人のために忍びきれない恥を忍んでいる私をかわいそうだと思って下さいまし...
中里介山 「大菩薩峠」
...こうして恥を忍んで上りましたものか...
中里介山 「大菩薩峠」
...殿様のお家には二つとないまことのお血筋……そのお血筋がおいとしいために恥を忍んで上りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は、恥を忍んで、下男に己が毎夜の夢のことを告げた...
中島敦 「南島譚」
...「兄上、それはあんまり、――親同士の怨を忘れ、井上流の大筒と、稲富流の焔硝を併せて、天下の為五貫目玉五十丁撃の大業成就の為、井上様の伝書を奪い取れ、――井上様の火薬は五十丁撃の力は無いが、正面からかけ合っては、稲富流と力を協せるとは言うまい――と仰しゃった兄上のお言葉を誠と思い、恥を忍んで、井上様から伝書を盗み取りました」繁代の顔――汗と涙に燻蒸して秋の陽に咲いたよう...
野村胡堂 「江戸の火術」
...――恥を忍んでお願ひに參つたのは斯ういふわけだ」「――」「當今江戸中で名の高い平次殿...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あの老女は恥を忍んでそんなことはしない」「まったくだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...恥を忍んで聴きにいったよ...
正岡容 「寄席」
...どうしてももう一度後に引返して恥を忍んでも「笈摺草紙」を買はなければならないと思ふ心持が強く起つた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...しばしば恥を忍んで屈しなければならないものだ...
山本周五郎 「青べか物語」
...十樫は恥を忍んで...
山本周五郎 「さぶ」
...不面目な恥を忍んで済州へ帰ってきた...
吉川英治 「新・水滸伝」
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