...実を云うと、自分の恋の打開(うちあ)け話を、書物にして衆人の目にさらすというのは、小説家でない私には、妙に恥しく、苦痛でさえあるのだが、どう考えて見ても、それを書かないでは、物語の筋道(すじみち)を失うので、初代との関係ばかりではなく、その外の同じ様な事実をも、甚(はなはだ)しいのは、一人物との間に醸(かも)された同性恋愛的な事件までをも、恥を忍んで、私は暴露(ばくろ)しなければなるまいかと思う...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...自分の恥を忍んで結ぶに至った...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...恥を忍んでちらと見えた売子監督(フロア・ウォウカア)へ駈け寄った...
谷譲次 「踊る地平線」
...ママはあえて恥を忍んでカメラの前に立つであろう...
谷崎潤一郎 「鍵」
...胯下(こか)の恥を忍んで天下に大功を立てんと思う心洞察すべし...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...こうして恥を忍んで上りましたものか...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は、恥を忍んで、下男に己が毎夜の夢のことを告げた...
中島敦 「南島譚」
...「兄上、それはあんまり、――親同士の怨を忘れ、井上流の大筒と、稲富流の焔硝を併せて、天下の為五貫目玉五十丁撃の大業成就の為、井上様の伝書を奪い取れ、――井上様の火薬は五十丁撃の力は無いが、正面からかけ合っては、稲富流と力を協せるとは言うまい――と仰しゃった兄上のお言葉を誠と思い、恥を忍んで、井上様から伝書を盗み取りました」繁代の顔――汗と涙に燻蒸して秋の陽に咲いたよう...
野村胡堂 「江戸の火術」
...同じ御用を承る身の恥を忍んで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...恥を忍んで踏み止まっていたんだぞ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...恥を忍んで主家を退轉したと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――恥を忍んでお願ひに參つたのは斯ういふわけだ」「――」「當今江戸中で名の高い平次殿...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...恥を忍んで泣付いて行ったら...
二葉亭四迷 「平凡」
...いまは恥を忍んで借りねばなりません...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...あの老女は恥を忍んでそんなことはしない」「まったくだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...恥を忍んで聴きにいったよ...
正岡容 「寄席」
...恥を忍んで郷里に還(かえ)ってみると...
柳田国男 「山の人生」
...しばしば恥を忍んで屈しなければならないものだ...
山本周五郎 「青べか物語」
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