...家の中は森閑(しんかん)として何だか一人取り残されたように静かである...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...時間と場所とが不足なので往々歴史家から等閑に付せられている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...わたくしは図らずも此のラビラントの一隅に於いて浮世半日(ふせいはんじつ)の閑を偸(ぬす)む事を知った...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...「恥かしい?」そう言って四方(あたり)を見廻したが森閑(しんかん)たる谷の中...
中里介山 「大菩薩峠」
...至極閑静な住居(すまい)であった...
夏目漱石 「それから」
...また引き離すような閑手段(かんしゅだん)を縦(ほしい)ままに弄(ろう)して...
夏目漱石 「明暗」
...空には白い雲が浮んでたいそう閑雅な食慾である...
萩原朔太郎 「青猫」
...神田の龍閑橋(りうかんばし)とか芝の土橋(どばし)とかいふふうに方向まで示してゐるので...
長谷川時雨 「春宵戲語」
...男湯の方は馬鹿に森閑としてゐた...
林芙美子 「暗い花」
...閑々たる態度で墨を磨り...
久生十蘭 「魔都」
...森閑と、静まりかえっている...
火野葦平 「花と龍」
...その他、文三橋、奚銕生、徐三庚、趙次閑、楊龍石、王石香、呉讓之、などといふ明清の文人たちの刻したものである...
堀辰雄 「我思古人」
...網が昆布のやうで修正の仕様もないと岡や閑吉達に嗤はれてゐるものだつた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...いつも薄手でないところの風格的なる長閑さに満々たる夢を湛えてゐるおもむきに好感を誘はれてゐた...
牧野信一 「浪曼的時評」
...作者の理想は閑寂(かんじゃく)を現はすにあらんか...
正岡子規 「俳諧大要」
...今井 東西呼応して立つ! 痛快だなあ、ムム! 諸先輩は余り慎重過ぎるなあ! (昂奮してジレジレする)加多 アハハハ、閑話休題、筑波へ論じに来たのではない...
三好十郎 「斬られの仙太」
...祖国の芸術学問を欧洲人に紹介すると云ふ様な精神的方面に対しては余りに等閑に附せられて居る...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...たゞ見ればなんの苦もなき水とりのあしに閑(ひま)なきわがおもひかなこれは誰も知る老公の詠じた歌である...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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