...その癖恍惚(うっとり)した...
泉鏡花 「婦系図」
...竜次郎は恍惚(こうこつ)たらざるを得なかった...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...機関車あやつる火夫の姿に恍惚(こうこつ)として...
太宰治 「春の盗賊」
...私に話し掛けるともなく恍惚(うっとり)としたように言い出すのです...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...女は空を恍惚(うっとり)と見上げている――彼女は急いで家の中に入った...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...ただその恍惚(こうこつ)たる様をながめるのみでなすところを知らない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...初めの数日はその恍惚(こうこつ)のうちに過ぎ去った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...江戸趣味の恍惚(こうこつ)のみに満足して...
永井荷風 「深川の唄」
...加十恍惚となる事並に贅沢なる朝食の事フト眼を醒すと加十は長椅子のようなものの上に眠っていたので...
久生十蘭 「魔都」
...又いつしか恍惚(うッとり)と腑が脱けたようになって...
二葉亭四迷 「平凡」
...あらゆる恍惚(こうこつ)をうばい去ることによって? かれは粗悪なものを製作したわけではない...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...心の恍惚となりて暫し佇みしこと幾度なるを知らず...
森鴎外 「舞姫」
...其夜は其の花畑の下なる怪しき土室(あなぐら)にて雲烟、恍惚の境に遊び、天女の如き唐美人の妖術に夢の如く身を委せつ...
夢野久作 「白くれない」
...終るときなきキツスの恍愡のなかに...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...しばらく恍惚としていると...
吉川英治 「剣難女難」
...恍惚(こうこつ)たるお客様であった...
吉川英治 「新書太閤記」
...恍(こう)として他郷の深山麋熊の林中にあるを忘(わす)る...
渡邊千吉郎 「利根水源探検紀行」
...深い恍惚を感じた...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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