...思いなしか蛇のようにうねうねして伸びている...
犬田卯 「橋の上」
...思いなしかわざと意地悪く道の端を歩くかのように...
上村松園 「北穂天狗の思い出」
...その声音(こわね)が思いなしか...
海野十三 「階段」
...思いなしか、私には彼が何事かをかくしている様にも見えます...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...思いなしか仙ちゃんは熱っぽい声で袈裟御前が首を落されるあれ...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「深夜の客」
...思いなしか寒気だつ眺めだった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...腐ってる役者なんかを奮起させたり、この頃上ったりのうるさ方がまともな根性を持って、おでん屋を開くようになったり、――但馬というのは、これはもしかすると、何か異様なものを持った、普通の人間とちがう、凄(すご)い奴かもしれないですな」一気に言ったが、思いなしか、最後の言葉を言った時のその嗄(しゃが)れた声は、恐怖に似た畏敬(いけい)と憎悪に似た反撥との奇怪な混合を示しつつ、震えていた...
高見順 「如何なる星の下に」
...思いなしか鼻さえ少したかくなった...
太宰治 「狂言の神」
...思いなしか私には兄の面もどことなく勝(すぐ)れぬような...
橘外男 「逗子物語」
...思いなしかそれがやさしい囁(ささや)きのように聞えて来る...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...俊子は変な顔付で――それも私の思いなしかも知れないが――私の方を見ていたが...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...何を考えるでもなし、考えないでもなし、白骨の湯にさらされて、本来蒼白(そうはく)そのものの面(おもて)が、いっそう蒼白に冴(さ)えているようなものだが、思いなしか、その白い冴えた面に、このごろは光沢というほどでもないが、一脈の堅実が動いていると見れば見られるでしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...一応見直すと、思いなしか、少し顔色を変えて、そのまま、焚火の中へ投り込んだようで――」「フーム」平次の顔は深沈とした色になります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...思いなしか、ランプの光に浮き出しているパッチリした美しい目が濡れていた...
正岡容 「圓太郎馬車」
...思いなしか知らぬが故衛門督(えもんのかみ)によく似ていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ある疑問に似たものを持つ思いなしか...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...思いなしかずっと見劣りがされた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...あるいは思いなしかもしれぬ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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