...僕は時として自分の弱點を――他人に見せるためではなしに自分一人の心底から――嘲弄せずにはゐられないやうな心持になる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...心底からこの大敵の前に兜(かぶと)をぬいだ...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...」青楼(ちやや)の主人は嬉しさうな物貰ひの顔を見て心底から満足した...
薄田泣菫 「茶話」
...伯爵に対して心底からの忠義者だった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...もはや心底からのおそろしい山賊になってしまったものの如く...
太宰治 「新釈諸国噺」
...叔父さんもこんどは心底から閉口だろう...
太宰治 「新ハムレット」
...とうとうまったく心底から腹を立てるようになってしまうのだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...老人同志のように心底から寄り添うのでもなく...
豊島与志雄 「怒りの虫」
...心底から左袒(さたん)する...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...だから恐ろしく些細なことにも心底から感服することがある...
長塚節 「記憶のまゝ」
...心底からの実感である...
野村胡堂 「胡堂百話」
...気が弱く、どこか、妹に気兼ねしていた兄としては、心底からの、最後の言葉であったかも知れない...
火野葦平 「花と龍」
...更に心底からの嘆息を洩した...
牧野信一 「鱗雲」
...ほんの冗談な座興であつたにもかゝはらずそれを真にうけて千代子の来るのを自分が待つてゐたと思はれては堪らない――さう思つて私は心底から慄然としたのです...
牧野信一 「砂浜」
...じめじめとする暑さにとり逆せて心底からの憤激に炎えあがつた...
牧野信一 「創作生活にて」
...心底から人に帰服せぬもの故...
南方熊楠 「十二支考」
...心底からの――日本人としての真の自覚である...
三好十郎 「猿の図」
...自分たちのとは違った自然の見方をほんとうに心底から理解してみなくてはいけない...
和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
便利!手書き漢字入力検索