...その人は確に幾分か千里眼に近いのに相違ない...
芥川龍之介 「上海游記」
...実用的要求に幾分かの美的要求が結合したものであつて...
伊丹万作 「戦争責任者の問題」
...既に幾分か黄ばんだ葉を片側に付けた樹が見えてゐました...
江南文三 「佐渡が島から」
...七百年の月日のあいだに幾分かちがって来たであろうがそれでも院の御うたを拝してひそかに胸にえがいていたものといま眼前にみる風光とはおおよそ似たり寄ったりであった...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...その恐しさの幾分かは...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...おかしなことにはつい近年になってこのM君の無意味らしく思われた言葉が少しずつ幾分かの意味を附加されて記憶の中に甦(よみがえ)って来るような気がする...
寺田寅彦 「変った話」
...給料のうちを幾分かやれば済む事だなどと考えながら用を足した...
夏目漱石 「坑夫」
...従って彼を囲繞(いにょう)する妻子近親に対する彼の様子は幾分か誇大に傾むきがちであった...
夏目漱石 「道草」
...まあ幾分か閑静だろうと云うので...
夏目漱石 「門」
...幾分か議員を動かしたように見えた...
穂積陳重 「法窓夜話」
...」「そんなことが出来るか?」「…………」私は、山村から薬のことや、食物のことなど細い注意を教はつて、それだけさへ守つてゐれば兎に角治ると云はれたので、それ位いのことならば堅く守らうと決心して、幾分か安心した...
牧野信一 「妄想患者」
...そして幾分か歡喜の間に賑(にぎやか)に生れたものだ...
三島霜川 「解剖室」
...幾分か領会せられる媒(なかだち)になるとすれば...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森鴎外訳 「家常茶飯」
...幾分かの注意を払って見た為めに...
森鴎外 「雁」
...たゞ邸宅が折々移つた為に幾分か言ひ伝へが区々になつて居たのであるが...
柳田國男 「信濃桜の話」
...粃の一種の幾分か實のあるものをさういふ...
柳田國男 「食料名彙」
...まだ幾分か余熱がある...
吉川英治 「大岡越前」
...その時にこの悉有の内的光景が幾分かは彷彿(ほうふつ)せられるであろう...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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