...……蝿を殺す、油虫を殺す、百足を殺す、蜘蛛を殺す、……そしておしまひには私自身を殺すだらう!……あまり予期してゐなかつた酒が魚が持ち来された(一昨日、幸便に托して、山田屋主人に酒と魚を借りたいといふ手紙をあげてをいたのであるが)、さつそく飲んだ(五日ぶりの酒であり魚であつた)、快い気分になつて、学校に樹明君を訪ねて来庵を促した(そして米と野菜とを貰つて)、それからまた飲んだ、飲んで街へ出た、ひよろひよろになるまで飲んだ、ちようど私の不在中訪ねて来て、私を探し歩いてゐる敬君に逢うて...
種田山頭火 「其中日記」
...最も幸便に北太平洋から東支那海にぬけるには...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...今夜白河の城下に宿を求め候処、右も左も馬の話にて、遠近より馬市に来たる者群り候うち、ふと下総の木更津の者といふのに出会ひ、これ幸便と、燈下に句々の筆を走らせて、右馬買ひの者に托し申候...
中里介山 「大菩薩峠」
...幸便に手に入ったのは...
野村胡堂 「胡堂百話」
...村上マサヨ宛の幸便を取りに来いという通知を受けた...
久生十蘭 「手紙」
...幸便の長いやつを受取っているのかもしれない...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...恰(あたか)も倹約の幸便(こうびん)に格式(かくしき)りきみをするがごとくにして...
福沢諭吉 「旧藩情」
...幸便(こうびん)だから之(これ)に乗(のっ)て帰国したいと云うので...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...そなたに取っても幸便と思われる...
本庄陸男 「石狩川」
...幸便なれども何も得不差上(えさしあげず)候也...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...此度明後日出立に而河村大造立帰りに帰省致候由幸便を得候に付...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...先は幸便不取敢乍延引先般之御礼兼如此候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...幸便を以(もっ)て同家へ御送届下(くだ)されたく...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
...幸便の風はあってもこれに托すべき北からの荷物はないに反して...
柳田國男 「地名の研究」
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