...わが妻と登れば嶮しいとも思いません...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...嶮しい山路を夢中で辿って行く瑠璃光には...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...嶮しい眼つきをするのが癖になつたね...
牧野信一 「鏡地獄」
...怒田(ぬだ)からヤグラ峠へ向ふ日蔭の山径は、わけても嶮しく、帯のやうに細い黄土の坂径が深い枯草の中に埋れてゐた...
牧野信一 「剥製」
...唐松村は四方を嶮しい山にとり囲まれた明るい盆地の村で...
牧野信一 「バラルダ物語」
...「ぜつちやう」と言へば山嶮しく感ぜらる...
正岡子規 「俳人蕪村」
...嶮しい道を縮める水の流だ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ついに嶮しい岩の根元までたどりついた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...流し元にいたお霜が嶮しい顔をして彼の傍へ寄って来た...
横光利一 「南北」
...含まれた意味に群がる嶮しさ只ならぬ空気が満ちていた...
横光利一 「旅愁」
...こんな嶮しい山路をたどって...
吉川英治 「三国志」
...初め意外な人數と賑ひとを見て驚いた私の眼にはやがて毎日々々五人十人づつ打ち連れて宿の門口から續いてゐる嶮しい坂路を降りてゆく彼等の行列を見送ることになつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...夕日さす枯野が原のひとつ路わが急ぐ路に散れる栗の實音さやぐ落葉が下に散りてをるこの栗の實の色のよろしさ柴栗の柴の枯葉のなかばだに如(し)かぬちひさき栗の味よさおのづから干て搗栗(かちぐり)となりてをる野の落栗の味のよろしさこの枯野猪(しし)も出でぬか猿もゐぬか栗美しう落ちたまりたりかりそめにひとつ拾ひつ二つ三つ拾ひやめられぬ栗にしありけり芒の中の嶮しい坂路を登りつくすと一つの峠に出た...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...今までよりは嶮しい野路の登りとなっていた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...手放しでは降りることも出来ぬ嶮しい崖の岩坂路を幾度か折れ曲って辛うじて川原へ出た...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...子供心にも常の日のその自分の眼の前の山は余りにも嶮しく余りにも鋭く感ぜられたに相違ない...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...其処からは両方に嶮しい山の切り立った狭い狭い峡間の底を渓に沿うてゆくのである...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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