...寒心せずにはゐられないのであります...
伊藤野枝 「ある女の裁判」
...ことに寒心に堪えないのは死産の数が五倍になったことであります...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...この分にてはやがて鳴雪(めいせつ)老人の跡釜を引き受くることならんと少々寒心の体に有之候...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...寒心すべき状態であるということを隠さず申し上げておきました」と云う...
谷崎潤一郎 「鍵」
...甚だ寒心に堪へざるものなからず...
田山録弥 「文壇一夕話」
...國民の頗る寒心する所なり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...寒心すべき事態であるといえよう...
中井正一 「知識と政治との遊離」
...かへすがへす文学雑誌と売女との増加は慷慨(こうがい)の士にあらざるも誰かこれを見て寒心せざらんや...
永井荷風 「桑中喜語」
...寒心に堪えぬ次第である...
中谷宇吉郎 「雪」
...いずくんぞ寒心せざるをえんや...
日野強 「新疆所感」
...これに寒心せざるを得んや...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...私ノ中学ノ幾多ノ先輩ガ窮屈極マル――ソレハ日露戦争時代ノ軍事教育ヲ旨トシテヰル老曹長ナル学生監(チユウタア)ノ圧迫ガ酷イノデアルタメ――学窓ヲ放タレルト同時ニ急ニ不思議ナ紳士(おとな)ニナツテ数々ノすきやんだるヲ遺シテヰルノヲ見テモ実ニ寒心ニ堪ヘン次第デアリマス...
牧野信一 「熱海線私語」
...彼のあれが亢じたならば終ひには何うなることか? と名刺を贈られる度に寒心に誘はれてならなかつたのである...
牧野信一 「奇友往来」
...吾等にはそゞろ寒心の感さへ覚ゆるほどでございます...
牧野信一 「初夏通信」
...真実彼女は寒心に襲はれた風であつた...
牧野信一 「山男と男装の美女」
...それより生ずる道徳の頽敗寒心すべきもの多しとて...
南方熊楠 「十二支考」
...当局でも寒心している位である...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...そぞろ寒心に堪えないものがあるのでわしはいうまでだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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