...青年の手が僅(わずか)二寸ばかり右に寄るか...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...死体の傍に寄るだけでも気味が悪いだろうに...
高見順 「いやな感じ」
...あんたは大学へはいったんでしょう?」と詰め寄る...
太宰治 「正義と微笑」
...その帰りに橋向うの知人の家へ寄るつもりで...
田中貢太郎 「堀切橋の怪異」
...私の眠りを見定めてこっそり近寄るおさな心のいじらしさ...
永井隆 「この子を残して」
...がんりきの隠れた楢の木の方へと歩み寄る...
中里介山 「大菩薩峠」
...――坑(あな)の底で生れて一段ごとに美しい浮世へ近寄るためには二十七年かかった...
夏目漱石 「虞美人草」
...近寄る工夫も顔を見る術も無いが...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...欄干(らんかん)に這ひ寄ると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...夫(そ)れから途中で水が乏しくなったので布哇(ハワイ)に寄るか寄らぬかと云(い)う説が起(おこっ)た...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...鋏のやうなノコギリクワガタなど悉く正ちやんの採集に寄るものであつた...
牧野信一 「魚籃坂にて」
...猴初めは棗入れた籃(かご)に近寄るを好まぬようだったが芸をやりながら漸次これに近付き...
南方熊楠 「十二支考」
...T「その代り」と詰め寄る...
山中貞雄 「なりひら小僧」
...寄る辺(べ)なく...
吉川英治 「三国志」
...「寄るなっ」「凡下(ぼんげ)ども!」竹や...
吉川英治 「親鸞」
...父のすがたが、樹々の陰へ沈んでゆくと、待ちもうけていたかの如く、御堂の横から総領の宗時が、「妹っ」と、駈け寄るなり、政子の手くびを、痛むばかりつかんで云った...
吉川英治 「源頼朝」
...婆のつめ寄る足もとを...
吉川英治 「宮本武蔵」
...時雨降る野口の簗の小屋に籠り落ち来る鮎を待てばさびしきたそがれの小暗き闇に時雨降り簗にしらじら落つる鮎おほし簗の簀の古りてあやふしわがあたり鮎しらじらととび跳りつつかき撓み白う光りて流れ落つる浪より飛びて跳ぬる鮎これおほきなる鯉落ちたりとおらび寄る時雨降るなかの簗の篝火翌朝は三人に別れて雨の中を船津町へ向った...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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