...「帰途(かえり)のほどは宵月(よいづき)じゃ...
泉鏡花 「悪獣篇」
...・誰も来ない蕗の佃煮を煮る・蕗つめば蕗のにほひのなつかしく・蕗の香のしみ/″\指を染めた・初夏の、宵月の、何か焦げるにほひの・こゝまではあるけたところで熱い温泉(ユ)がある(山口へ)・あかるくあつくあふれる湯にひたりおもひで(湯田入浴)・惜しみなくあふるゝよながるゝよ(途上即事)・街からついてきた蠅で打つ手は知つてゐるゆふべおもむろに蠅は殺された・打つ手を感じて蠅も私もおちつかない草が青うてどこかの豚が出て遊ぶ・よい湯あがりのはだかであるく雑草の風(追加)五月廿四日すばらしいお天気のつゞくことである、すこし急いで歩けば汗ばむほどの暑さとなつた...
種田山頭火 「其中日記」
...△酔如件――これで何もかも解消!・虫が火のなか声もろともに無くなつた・そばの花もうてふてふきてゐる・さびしさにたへて草の実や・さびしい手が藪蚊をうつ・月夜風呂たく麦わらもにぎやかに燃えて・宵月ほつかりとある若竹のさき七月廿三日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...宵月のうつくしさ...
種田山頭火 「其中日記」
...宵月、そして星空、うつくしかった...
種田山頭火 「四国遍路日記」
...極(きは)めて明瞭(めいれう)に浄瑠璃外題梅柳中宵月(じやうるりげだいうめやなぎなかもよひづき)...
永井荷風 「すみだ川」
...極めて明瞭に浄瑠璃外題(じょうるりげだい)「梅柳中宵月(うめやなぎなかもよいづき)」...
永井荷風 「すみだ川」
...今宵月明に乗じて中房(なかぶさ)を出で...
中里介山 「大菩薩峠」
......
中原中也 「在りし日の歌」
...東京の裏側にのみある月と覚えて淡く寒く欠けたる師走の空にかゝる十日位の半ば欠けた宵月の心持で...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...水の粉やあるじかしこき後家の君尼寺や善き蚊帳垂るゝ宵月夜柚(ゆ)の花や能酒蔵す塀の内手燭して善き蒲団出す夜寒かな緑子の頭巾眉深きいとほしみ真結びの足袋はしたなき給仕かな宿かへて火燵(こたつ)嬉しき在処(ありどころ)後の形容詞を用ゐる者...
正岡子規 「俳人蕪村」
...いよいよ蒼み 耀きまさり月も得堪えぬ如くそそぐ そそぐ わたしの窓へ満々として 抑えかねたその光をああ今宵月は何たる生きものだろうわたしは燦(きらめ)きの流れからやっとわが身をひき離し部屋へ逃げこみ襖をしめるこんないのちの氾濫は見も知らないという振りで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...宵月(よいづき)が水々しい...
吉川英治 「剣の四君子」
...はや宵月が冴えていた...
吉川英治 「私本太平記」
...空に新秋八月の宵月がちらとさし...
吉川英治 「新書太閤記」
...宵月の光が淡く往来に濡れていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...薄曇りした宵月の明りで...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...あなおもしろの交響よ! とこの宵月に舞踊するであろう...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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