...……音信(おとずれ)の来しは宵月なりけり...
泉鏡花 「一景話題」
...飲みすごしたのも無理はなからう!・うらは山で墓が見えるかな/\・かな/\ゆふ飯がおそい山の宿・よい宿でどちらも山でまへは酒屋で・宵月がみんなの顔にはだかばかりで行程二里...
種田山頭火 「行乞記」
...往生安楽国!・ほつかりと宵月のある枯枝で・風がでて葉が鳴るゆふべの祈り・春風の豚でうめく・日向の椿がぽとりと水へ・春がきたどろ/\の蓮を掘つてゐる・草の芽乞食が荷をおろした三月一日くもつてはゐるがぬくい...
種田山頭火 「其中日記」
...入雲洞君に・あんたとわたしをつないで雨ふる渡船宿直室も灯されて裸体像などが・待たされてゐる水音の暮れてゆく・宵月のポストはあつた旅のたよりを・旅のたよりも塗りかへてあるポスト二月二十三日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...宵月、そして星空、うつくしかった...
種田山頭火 「四国遍路日記」
...極めて明瞭に浄瑠璃外題(じょうるりげだい)「梅柳中宵月(うめやなぎなかもよいづき)」...
永井荷風 「すみだ川」
...今宵月明に乗じて中房(なかぶさ)を出で...
中里介山 「大菩薩峠」
...九月十四日の宵月に照されて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...宵月はありますが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...水の粉やあるじかしこき後家の君尼寺や善き蚊帳垂るゝ宵月夜柚(ゆ)の花や能酒蔵(ざう)す塀の内手燭(てしょく)して善き蒲団出す夜寒かな緑子の頭巾眉深きいとほしみ真結びの足袋はしたなき給仕かな宿かへて火燵(こたつ)嬉しき在処(ありどころ)後の形容詞を用いる者...
正岡子規 「俳人蕪村」
...薙刀(なぎなた)のような宵月が映(さ)していた...
吉川英治 「大谷刑部」
...宵月の気(け)はいが仄(ほの)かにさしかけている...
吉川英治 「三国志」
...折ふし夕方から宵月もすばらしく冴えていたので...
吉川英治 「三国志」
...はや宵月が冴えていた...
吉川英治 「私本太平記」
...大きな宵月(よいづき)の光に...
吉川英治 「神州天馬侠」
...空に新秋八月の宵月がちらとさし...
吉川英治 「新書太閤記」
...薄曇りした宵月の明りで...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...空には妖麗な金剛雲(こんごうぐも)――地にはほのかな宵月(よいづき)の明り...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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