...「やあさん」のお母さんは三味線が上手で、よくお母さんの糸で「やあさん」が舞うていたが、夏の宵の口など、店先から奥が透けて見える頃になると、通りに人が立って、奥の稽古を見物していた...
上村松園 「四条通附近」
...宵の口からまだ少しも眠ってはいませんでしたもん」と家内は恥ずかしそうに顔を赧(あか)らめました...
橘外男 「蒲団」
...暖かな宵の口であった...
田中貢太郎 「水魔」
...まだ宵の口の八時と云うのにもう老人は床を敷かせてお久に肩を揉(も)ませながら眠りに就いたが...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...ときどき宵の口に...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「可愛い女」
...廓の居まわりはさすがにまだ宵の口のように明るくて...
近松秋江 「狂乱」
...夜はいつでも宵の口から臥床(ふしど)に入ることにしている父親の寝言などが...
徳田秋声 「あらくれ」
...まだ宵の口なので...
徳田秋声 「挿話」
...あの騒ぎを、隣室にいて竜之助がほんとに知らないらしいのを不思議がり、「宵の口に、若い御夫婦づれが、これへおいでになりました」「それは知っている」「その御夫婦づれが、心中をなさいました」「心中を……」「はい、吾妻(あずま)川の湖(みずうみ)へ出ますところで、二人とも、しっかり抱き合い身を投げたのを、今朝の暗いうちに、倉屋敷の船頭衆が見つけまして大騒ぎになりました」「うむ――」「宅の方は、昨晩、三井寺あたりまで参ると申し、五ツ過ぎに、連れ合いしてお出かけになりましたが……それっきり...
中里介山 「大菩薩峠」
...とうていこりゃ宵の口は駄目だ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...両国橋の上にかかったのはもう宵の口...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...とうとう口を開かせたのは宵の口...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...宵の口の騒ぎもほぼ静まり...
平林初之輔 「五階の窓」
...宵の口にエヴァンスが氷山の警告を出したら...
牧逸馬 「運命のSOS」
...放火未遂当夜も宵の口に青年が地主邸へ行つてゐるのを村人から見られて居る事...
三好十郎 「おスミの持参金」
...兵藤は事の意外さに呆れて一瞬見下ろしていたが、やがて猛然とお蔦の髷を左手で鷲掴みにする)兵藤 貴様、なに奴だお蔦 痛っ! 何をなさるんだよっ! つ、つ、つ、痛っ!兵藤 さては、宵の口から、その辺ウロウロしていたというのは貴様だったな? よし、バイタ!井上 お蔦! 仙太はっ? 仙太郎は如何した?吉村 謀られた! 甚伍、手出し無用! この場を引けっ! えいっ! (井上に向って斬り込んで行く...
三好十郎 「斬られの仙太」
...まだ宵の口の八時頃...
山本笑月 「明治世相百話」
...これはやや宵の口に入ってからのこと...
吉川英治 「新・水滸伝」
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