...前よりも猶(なお)安々(やすやす)と...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...もう安々と隧道を辷(すべ)りぬけて...
芥川龍之介 「蜜柑」
...葉子は六月の末以来始めて寝床の上に安々とからだを横たえた...
有島武郎 「或る女」
...先刻何事が起つたかも忘れ果てた如く彼等は安々と眼を開いて珍らしげもなくあたりを見て居た...
有島武郎 「潮霧」
...安々と曳網の浮標を見つけた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...安々と眠つた母の寝息を聞いては...
石川啄木 「天鵞絨」
...あらん限りの憎悪とその憎悪を是認する理性の力をもつて、斥(しりぞ)けやうとしてゐる習俗が、自分と云ふものゝ隅々にまで喰ひ込んで邪魔をするのだと云ふ自覚は、どんな絶望を彼女に与へたか? 彼女は、いくら懸命に正しい真実に味方する憎悪や反抗が遮ぎらうとしても、安々と、それを振り切つて、どんな、自分を除外し侮辱する情実とでも妥協して、目前の安易を持ちつゞけやうとする、頭の隅にいつも潜んでゐる他の卑劣な気持を、自分ながらどうする事も出来ないのであつた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...その上に今月が安々と生んだ許りの星が赤く輝いて居る何も彼も水々しい母なる月は少し※れて...
千家元麿 「自分は見た」
...禄々調査もしないで即日安々と鵜呑みにして了ったのでは...
戸坂潤 「社会時評」
...竜之助とても安々と眠るわけにはゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...そう安々と出て来るわけにはいかないが...
中里介山 「大菩薩峠」
...ただ安々と楽寝がさせて貰いたい...
夏目漱石 「坑夫」
...だから僕も安々と君にやれるんだ...
夏目漱石 「明暗」
...安々と息をしているのだ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...安々と死んでゆけないぞと云つてゐるやうにも考へられて...
林芙美子 「旅人」
...まるで心天(ところてん)を流すよりも安々と女記者になりすました私は...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...どんな愛想のいい娘でもそう安々と歓迎する筈はないから...
久生十蘭 「魔都」
...安々と身を横たえたくなって来たらしい...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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