...葉子は六月の末以来始めて寝床の上に安々とからだを横たえた...
有島武郎 「或る女」
...喜平は自分の眼ひとつで安々と捜(さぐ)り出してゐる...
薄田泣菫 「小壺狩」
...そう安々と家(うち)の者同志で喧嘩もしないだろうし...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...めんどうな積分的計算をわれわれの無意識の間に安々と仕上げて...
寺田寅彦 「感覚と科学」
...秋子の盲乳(めくらぢち)によりも一層安々と...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...竜之助とても安々と眠るわけにはゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...高声念仏午の正中に安々と息が絶えた...
中里介山 「法然行伝」
...鉄瓶から機関車が安々と生れて来ると思う人は誰もない...
中谷宇吉郎 「科学と国境」
...安々と受ける段々もある...
夏目漱石 「虞美人草」
...子供の嘘に安々とだまされてやらなかつた自分に腹が立つて来て...
林芙美子 「子供たち」
...安々と息をしているのだ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...鍛えられた土台の上に安々としている或るユーモアの境地があり...
宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
...それにしてもおれは何という安々したいい気持になったことであろう...
室生犀星 「寂しき魚」
...冬の長夜を安々と睡(ねむ)り去るためには...
柳田国男 「雪国の春」
...安々とした目をしているのが...
柳田国男 「雪国の春」
...夢一つ見ませずに安々と眠りましたが...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...しかしそういう特別に飛び離れて偉大な人格が今日もなお世界に存在する如くに見え、大多数の人類がそういう偉大なと見える人格に由って音頭を取ってもらわねばならないという事実が、私の考察では、まだ世界の文化が非常に偏頗(へんぱ)な状態にある証拠であり、従って大多数の人類がウィルソンの提議に現れたような正大な思想を、何の凝滞(ぎょうたい)も曲解も反抗もなしに、空気を吸い水を飲むように、安々と肯定し、受容し、味解することの出来る程度に達していないものであることを思わせます...
与謝野晶子 「激動の中を行く」
...安々と身を横たえたくなって来たらしい...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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