...どうして安々と認められよう...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...もう安々と隧道を辷(すべ)りぬけて...
芥川龍之介 「蜜柑」
...木村の葉子も事務長に抱かれて安々と眠っている時に……...
有島武郎 「或る女」
...その事については割合に安々(やすやす)とした心持ちでいる事ができた...
有島武郎 「或る女」
...鼾(いびき)さえかいて安々と何事も忘れたように見えた...
有島武郎 「小さき者へ」
...一人で安々とこれを持って走ることが出来る...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...あらん限りの憎悪とその憎悪を是認する理性の力をもつて、斥(しりぞ)けやうとしてゐる習俗が、自分と云ふものゝ隅々にまで喰ひ込んで邪魔をするのだと云ふ自覚は、どんな絶望を彼女に与へたか? 彼女は、いくら懸命に正しい真実に味方する憎悪や反抗が遮ぎらうとしても、安々と、それを振り切つて、どんな、自分を除外し侮辱する情実とでも妥協して、目前の安易を持ちつゞけやうとする、頭の隅にいつも潜んでゐる他の卑劣な気持を、自分ながらどうする事も出来ないのであつた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...狸ほど安々と手捕(てどり)に出来る獣(けもの)は外(ほか)に無いさうだ...
薄田泣菫 「茶話」
...7.僕は貴君にまさかさう安々と私の全財産を取り上げられて默つてゐるわけにはゆかぬ...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...人工映画の世界においてはあらゆる空想が安々と実現される...
寺田寅彦 「映画芸術」
...鉄瓶から機関車が安々と生れて来ると思う人は誰もない...
中谷宇吉郎 「科学と国境」
...彼は重い犬をあたかも風呂敷包(ふろしきづつみ)のごとく安々と小脇に抱えて...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...拙者の手で安々と退治される筈も無いだろう...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...かげに廻りては家の書生がと安々こなされて...
樋口一葉 「ゆく雲」
...かかる危険極(きわ)まれる薬品を枕にして能(よ)くも安々と睡(ねむ)り得しことよと...
福田英子 「妾の半生涯」
...……「あゝ俺の相手になつて呉れる人間は皆な安々と眠つて仕舞つたのか……...
牧野信一 「白明」
...江戸城を安々と官軍に明け渡してしまったのである...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...しかしそういう特別に飛び離れて偉大な人格が今日もなお世界に存在する如くに見え、大多数の人類がそういう偉大なと見える人格に由って音頭を取ってもらわねばならないという事実が、私の考察では、まだ世界の文化が非常に偏頗(へんぱ)な状態にある証拠であり、従って大多数の人類がウィルソンの提議に現れたような正大な思想を、何の凝滞(ぎょうたい)も曲解も反抗もなしに、空気を吸い水を飲むように、安々と肯定し、受容し、味解することの出来る程度に達していないものであることを思わせます...
与謝野晶子 「激動の中を行く」
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