...絵島丸が横浜の桟橋につながれている間から、人々の注意の中心となっていた田川夫人を、海気にあって息気(いき)をふき返した人魚のような葉子のかたわらにおいて見ると、身分、閲歴、学殖、年齢などといういかめしい資格が、かえって夫人を固い古ぼけた輪郭にはめこんで見せる結果になって、ただ神体のない空虚な宮殿のような空(そら)いかめしい興なさを感じさせるばかりだった...
有島武郎 「或る女」
...学殖(がくしょく)にしろ...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...絢爛(けんらん)の才能とか、あふれる機智、ゆたかな学殖、直截の描写力とか、いまは普通に言われて、文学を知らぬ人たちからも、安易に信頼されているようでありますが、私は、そんな事よりも、あなたの作品にいよいよ深まる人間の悲しさだけを、一すじに尊敬してまいりました...
太宰治 「風の便り」
...学殖にも絶望した一人の貧しい作家は...
太宰治 「春の盗賊」
...しかるに学殖の富衍(ふえん)なる...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...公式や学殖というものも...
戸坂潤 「所謂批評の「科学性」についての考察」
...公式や教師的学殖の正常な役割を...
戸坂潤 「所謂批評の「科学性」についての考察」
...こういうアカデミックな学殖を背景とした批評家が...
戸坂潤 「所謂批評の「科学性」についての考察」
...何となれば知識(又学殖)なるものは単に...
戸坂潤 「科学方法論」
...そこには彼の実際的経験や学殖や世界観や一般的生活意識やがある...
戸坂潤 「思想としての文学」
...文化的進歩ということは要するに学殖があるという類いのことなのである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...文化的な威容さえ持てば(例えば学殖・学界常識・既成文化圏内の文化的好み・文化的テクニックの発達・等)一つの文化財として尊重される...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...わずかに学殖的に荘厳にしたようなものが...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...文化的貴族としては国家の学殖ある番頭達が存する...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...最も学殖(がくしょく)に富み...
野村胡堂 「楽聖物語」
...それに深い学殖とが...
野村胡堂 「胡堂百話」
...作者としては充分な学殖(がくしょく)と貴(たっと)き未来とをもった...
長谷川時雨 「大塚楠緒子」
...此人の学殖があつて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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