...……娑婆界を隔つる谷へ...
芥川龍之介 「河童」
...單に數時間の間娑婆苦を忘れてゐるだけの鎭痛安眠の量であり...
小穴隆一 「二つの繪」
...可愛らしき小児をいだく手も清くほそやかにして、力なげなる年若き女の、お月さまいくつ十三なゝつなど、小声にうたふにつれて、かたごとに、のゝさま/\と言ひつゞけしが、はてはつかれて、やわらかき手、母の胸にあてて、ちゝ/\とねだれば、月に白き豊胸露はし、乳房ふくませて、いきうつしと覚えずつぶやきたる声低く、眼も放たでみとれたる足元に、竹影娑婆として、孤月むなしく長風の上にすみてつれなし...
大町桂月 「月譜」
...娑婆(しゃば)へ出てから...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...お銀様は甲州の家にあった「阿娑縛抄(あさばしょう)」一部を惜しいものだと思い出さないわけにはゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...得(え)たり賢(かしこ)しと普通の娑婆(しゃば)に留まる了簡なんだろうと思われる...
夏目漱石 「坑夫」
...歯切れのよい娑婆(しゃば)っ気(け)を吹き込まれたのだ...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...頭に婆娑(ばさ)たる長毛(ちょうもう)を戴き...
久生十蘭 「玉取物語」
...……新之助さんがいやはりました――これまでは隠して居ったけんど、娑婆に出たら、やっぱり、玉井金五郎はんの弟分になって、万事、やって行きたい...
火野葦平 「花と龍」
...それを肴に飲むのや」なんという落語家らしい娑婆風流だろう...
正岡容 「寄席」
...一度その中に這入(はい)つて善くその内部を研究し而して後に娑婆(しゃば)に出でなば再(ふたたび)陥る憂(うれい)なかるべし...
正岡子規 「墨汁一滴」
...吾輩は娑婆(しゃば)の見納めのつもりで或夕方のこと...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...娑婆(しゃば)の風に吹かれたのは...
吉川英治 「江戸三国志」
...婆娑羅(ばさら)と飲んで別れとしようぞ」妓たちには...
吉川英治 「私本太平記」
...――あの婆娑羅めが...
吉川英治 「私本太平記」
...虚々実々の婆娑羅合戦を展じたものといえなくもない...
吉川英治 「私本太平記」
...婆娑羅(ばさら)大名の道誉が晩年住んだ所だが...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...娑婆(しゃば)が曇っている日のほかは...
吉川英治 「茶漬三略」
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