...しかも太い腹だけは可笑しさうに絶えず浪立たせてゐました...
芥川龍之介 「河童」
...其男の大圈(おほわ)に振つて居る太い洋杖が...
石川啄木 「雲は天才である」
...右手には太い藤(とう)の洋杖(ステッキ)をつき...
海野十三 「雷」
...メガフォンの太い声が交叉(こうさ)して...
海野十三 「空襲葬送曲」
...「いやそれは木に縁りて魚を求むるたぐいだ」県会議員の川島治平が太い眉をうごかしていった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...おむこさんが、峠の下で待つてゐるだらうに、自動車から降りて、富士を眺めるなんて、はじめてのお嫁だつたら、そんな太いこと、できるわけがない...
太宰治 「富嶽百景」
...「太い」と同時に「美しい」手だ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...太い丸竹を並べた床の上に...
中島敦 「夾竹桃の家の女」
...お前の太いのに呆れてゐるんだよ」お仲はさめ/″\と泣きだしました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...胆の太い人じゃけ...
火野葦平 「花と龍」
...庭に太い棒が立つてゐて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...思いも寄らぬ太い棍棒がブンと風を截(き)って来て……と思うと...
二葉亭四迷 「平凡」
...マーシの野太い低音が聞こえた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...生まれつき神経の太いアイルランド人が多いせいか...
牧逸馬 「チャアリイは何処にいる」
...お前の学校のボートレースは何時(いつ)何処であるの?」「未だそんな話か!」彼は太い溜息を洩した...
牧野信一 「或る五月の朝の話」
...太い眉をしかめ、大きな口をぎゅっとひき緊めるのが、彼の癖であった...
山本周五郎 「風流太平記」
...四谷見付(よつやみつけ)で電車を降りると、太い濁った声で、何か鼻唄を歌い歌い、チエ子と後になり先になりして来たが、やがて嫩葉(わかば)女学校の横の暗いところに這入ると、ちょうど去年の秋に、母親と立ち止まったあたりで、チエ子は又ピッタリと立ち止まった...
夢野久作 「人の顔」
...しかし堂のうしろ側の太い柱の列やその上にゆったりとかかっている屋根の線が眼に飛び込んで来ると...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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