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谷崎潤一郎 「春琴抄」
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谷崎潤一郎 「春琴抄」
...春琴は常に我が居間の床脇(とこわき)の窓の所にこの箱を据(す)えて聴(き)き入り天鼓の美しい声が囀(さえず)る時は機嫌(きげん)がよかった故に奉公人共は精々水をかけてやり啼かせるようにした大抵快晴の日の方がよく啼くので天気の悪い日は従って春琴も気むずかしくなった天鼓の啼くのは冬の末より春にかけてが最も頻繁(ひんぱん)で夏に至ると追い追い回数が少くなり春琴も次第に鬱々(うつうつ)とする日が多かった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...これに反して天鼓のごとき名鳥の囀るを聞けば...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...雲雀の外(ほか)に第三世の天鼓を飼っていたのが春琴の死後も生きていたが佐助は長く悲しみを忘れず天鼓の啼く音を聞くごとに泣き暇(ひま)があれば仏前に香(こう)を薫(くん)じてある時は琴をある時は三絃を取り春鶯囀を弾いた...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...谷から谷へ枝から枝へ飛び移って啼く鳥の心を隠約(いんやく)の裡(うち)に語っている生前彼女がこれを奏でると天鼓も嬉々(きき)として咽喉(のど)を鳴らし声を絞(しぼ)り絃の音色と技を競った...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...天鼓はこの曲を聞いて生れ故郷の渓谷を想い広々とした天地の陽光を慕(した)ったのであろうが佐助は春鶯囀を弾きつつどこへ魂を馳(は)せたであろう触覚の世界を媒介(ばいかい)として観念の春琴を視詰(みつ)めることに慣らされた彼は聴覚によってその欠陥(けっかん)を充(み)たしたのであろうか...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...天鼓になさしめ給え...
直木三十五 「南国太平記」
...私は錫(しやく)と広場と天鼓のほかのなんにも知らない...
中原中也 「山羊の歌」
...数しらず鳴りわたる天鼓(てんこ)のかなたに空一ぱいの不思議(ふしぎ)な大きな蒼い孔雀が宝石製(ほうせきせい)の尾(お)ばねをひろげかすかにクウクウ鳴きました...
宮沢賢治 「インドラの網」
...子民の泣哭(きゅうこく)に奮って討伐の天鼓を鳴らさんとす...
吉川英治 「三国志」
...天鼓流(てんこりゅう)村上賛之丞(むらかみさんのじょう)(越後領(えちごりょう))八車(しゃ)流(りゅう)牧野雷堂(まきのらいどう)(四国(こく)領(りょう))月花流(げっかりゅう)柳川佐太夫(やながわさだゆう)(熊本領(くまもとりょう))もっともこのうちには...
吉川英治 「神州天馬侠」
...天鼓流(てんこりゅう)の築城家(ちくじょうか)村上賛之丞(むらかみさんのじょう)...
吉川英治 「神州天馬侠」
...逆法ではない」「逆法とぞんずるッ」「貴殿(きでん)の尊奉(そんぽう)なさる越後(えちご)の天鼓流(てんこりゅう)では...
吉川英治 「神州天馬侠」
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