...天そそり立つ大峰や...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...大峰(おおみね)の修験者(しゅげんじゃ)...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...御存じの大峰庄蔵と矢田部源七郎が当お屋敷内へ逃げこんでいるんです」「大峰と矢田部……」「結城党の奸物です...
山本周五郎 「新潮記」
...「お高うございます」内膳は手をあげて、「この頃は御殿うちにもよその耳がございます、御老公おのりだし以来、こちらにもだいぶ妙な芽がふきでましたから」「校川宗兵衛とやら申す……」「宗兵衛なにほどの者と、わたくし共も存じましたし結さまにもさよう申上げておきましたが、なかなかどう致して、かれは迂濶(うかつ)な相手ではござりませんぞ」「先日どなりこんだそうだが」「お国もとから暴れ者がやって来たので、その案内で押しかけました、武田なにがしとやら云いましたか……」「魁介であろう、耕雲斎の二男で水戸でも評判の男だ」寅寿はそこで用談にかかった、「今宵まいったのは、実はその件についておたのみがあってのことだ、魁介どもの覘っている両名を、このお邸内へ預かって頂きたい」「この邸ではいけますまい」「この邸だからよいのだ、魁介どもは両人をつけ覘っておる、先日ここへまいったのはそのためで、同時にこの邸におらぬことをもたしかめた筈、だからこの邸こそもっとも安全という訳ではないか」「一応ごもっともではあるが」内膳はちょっと考えた、「いったいその両人はなに者でございますか、大峰、矢田部と姓だけは先日耳にいたしましたが、刺客に逐(お)われるほどの大切な役におりましたのか」「されば」寅寿は声を低くした、「これまで常に陰の仕事をさせており、拙者のほかには役目の筋もわからぬようにしてまいったが、じつは砲台築造の件と、仏寺破却の件では重いところを勤めた者でござる、大峰庄蔵、矢田部源七郎、激派(藤田東湖一派)の者どもがこの両名に眼をつけたのはあっぱれでもあり、当方にとってはもっとも痛いところと申されよう、ここでもし両名をかれらの手に取られるとすれば、もはや寅寿の運もそれまでと申すほかはないのだ」「……して今その両名はいずかたに……?」「つれて来ておる」えっというように内膳は眼をみはった、寅寿はにこりともせず、「駕(かご)かき二名、その者でござる」善かれ悪しかれ内膳は肚(はら)をきめなければならなかった...
山本周五郎 「新潮記」
...供待ちにいる大峰と矢田部を呼ばせた...
山本周五郎 「新潮記」
...大峰庄蔵は眉の太い頬骨の尖(とが)った男で...
山本周五郎 「新潮記」
...「大峰庄蔵と矢田部源七郎の居どころを聞こう」平手打ちをくわせるような調子で云った...
山本周五郎 「新潮記」
...大峰と矢田部はどこにいるか」寅寿は俯向いたまま...
山本周五郎 「新潮記」
...大峰と矢田部の居どころを教えたときのように...
山本周五郎 「新潮記」
...「供のなかに紛れこんで高松へ来たのは、水戸どのの家臣だ、というよりも結城寅寿ふくしんの者だ、姓名は大峰庄蔵、矢田部源七郎という、途中は下郎にやつしていたが、いまでは栗林荘にいる」口調は穏やかであるが、まるで掌の物を指すような、あまりに確たる云い方なので、頼胤にはかえすべき言葉がなかった...
山本周五郎 「新潮記」
...武田が寅寿から訊きだして、大峰、矢田部の在所をつきとめて此処まで来たことは云うまでもあるまい...
山本周五郎 「新潮記」
...「城代の用向きはなんだ」「お上御帰国の供の中に、他家の家臣が紛れこんでおるとの御意につき、さようなる事実はこれなく、思召し違いに存じ奉るとの口上にございます」「使者の役たいぎ」そう云って左近はじっと宗兵衛を見た、「宗兵衛、そのほうに城代の使者を申付けたのはなに者だ、老臣のさしずか、それとも」「お上の御指名にございます」「讃岐守どのの……」ああそうかと、左近ははじめて安堵(あんど)の微笑をうかべた、「では大峰、矢田部と申す二名の者は、たしかに追放されるのだな」「御意のとおりにございます、二名を隠匿せる事実なしと、老臣共の言質をとるためのお上の御遠慮にて、その旨を言上のためわたくしめにお使者の御指名があり、時刻はずれにございますが伺候つかまつりました」「それでよい、もし不調に及んだらと案じたが、それで余も安堵したぞ」「もう一つ言上がございます」宗兵衛はそう云ってちょつと眼をふせた、「今朝はやく、倉敷代官さし添いにて、木阪町奉行よりの使者がまいり、高松郷士早水秀之進に対する追捕(ついぶ)の旨を申し達しました」「秀之進に追捕の命とは」「信州高島城下にて闘争に及び、五名殺傷のうえ逃亡との理由にございます」左近はじっと宗兵衛を見た...
山本周五郎 「新潮記」
...「大峰、矢田部の二人を受け取る、ほかの者は手をだすな」その声を聞いて「ああ早水だ」という者があった...
山本周五郎 「新潮記」
...それで大峰と矢田部は...
山本周五郎 「新潮記」
...または羽黒か」「入峰(にゅうぶ)三度の大峰の修験者(しゅげんじゃ)にござりまするが...
吉川英治 「私本太平記」
...大峰山脈の一帯をとりでと見なして...
吉川英治 「私本太平記」
...大峰の者か、聖護院(しょうごいん)派か、見知らぬ山伏だが、年ごろ四十前後の男で、鉄のような五体は、修験(しゅげん)の行(ぎょう)に鍛(きた)えたというよりは、戦場で作ったものである...
吉川英治 「宮本武蔵」
...紀伊見の峠から高野大峰のすがたが正面に見えてきた頃である...
吉川英治 「宮本武蔵」
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