...夜陰に及んで、突然召しを受ける...
芥川龍之介 「忠義」
...忽(たちま)ち幽怪(いうくわい)なる夜陰(やいん)の汽笛(きてき)が耳(みゝ)をゑぐつて間(ま)ぢかに聞(きこ)えた...
泉鏡太郎 「十六夜」
...夜陰に燭を立てゝ敵使を見るといふ莊嚴な光景である...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...夜陰に乗じて西中島を出立...
江見水蔭 「備前天一坊」
...夜陰に乗じてそっと海へ乗り出し...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...目を瞑つてうつら/\とし乍ら此晦冥の天地轟々たる夜陰の響と惡戰を續けてゐるやうに感ずる...
高濱虚子 「俳諧師」
...それには夜陰に乗じて邸ぐるみ...
直木三十五 「南国太平記」
...「その方たち、夫ある身でありながら、こうして夜陰、お籠(こも)りをすることを許されて来たか」「夫も承知のことでございます、ただ子供がほしいばっかりに……」と泣き伏してむせぶ者もあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...自暴(やけ)に夜陰に向って擲(たた)きつけるように...
夏目漱石 「思い出す事など」
...夜陰(やいん)のうちに枝を張っていた...
夏目漱石 「こころ」
...夜陰ひそかに投り込めないことでは無かつたでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...夜陰にそっと脱け出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...探偵はどこでも必要だよ」第二十二章 夜陰もう話す時間はない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...愚昧な心の動きを、狡猾な昆虫に譬へて、木の葉にかくれ、陽(ひかり)を見ず、夜陰に乗じて、滑稽な笛を吹く――詩を、作つて悲し気な苦笑を洩らしてゐた頃だつた...
牧野信一 「或る日の運動」
...そのうちで夜陰に乗じて土塀を乗り越すことなしに...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...夜陰の川をゆっくりと流れる浮燈籠の様でもあった...
松永延造 「職工と微笑」
...太守には夜陰を待って...
吉川英治 「三国志」
...……このままあのお二人をここに置けば、自分の信仰がくずれてしまうか、そうならぬ間に、厳しい詮議(せんぎ)の者の眼に見つかってしまうのは知れたことだが……」「お気の毒だが、出てもらおう、この山荘を」「えっ、追い出すのか」「そうではない、どこか他(ほか)のまったく人の気づかぬ所へ、そっと、夜陰にでも、移っていただくのだ」二希望の光明に燃えて、御所を脱けだした鈴虫の局(つぼね)であった、また松虫の局であった...
吉川英治 「親鸞」
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