...夜陰をおかしてまで親しい友達のところへ駈けつける...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...夜陰(やいん)に主人の寝息を伺って...
永井荷風 「狐」
...支那蕎麦屋の夜陰に吹き鳴す唐人笛には人の心を動す一種の哀音がある...
永井荷風 「巷の声」
...夜陰(やいん)屋敷へ来てするように罵ったり...
中里介山 「大菩薩峠」
...夜陰ならば、この姿で、けっこう大手を振って根岸まで帰れるのだ――目が醒(さ)めて、あたりが暗くなっていさえすれば、時間に頓着する必要は少しもない...
中里介山 「大菩薩峠」
...夜陰(やいん)のうちに枝を張っていた...
夏目漱石 「こころ」
...幾分か厳(いか)めしい景気を夜陰に添えたまでで...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...夜陰ひそかに投り込めないことでは無かつたでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...夜陰ひそかに投り込めないことではなかったでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夜陰にそっと脱け出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夜陰にそっと忍び込んで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それで彼は、『或る日の運動』を読み始めたのであるが、たしかに指摘した筈の多くの誤植活字が、一つも訂正されてゐないので、多少の迷惑は感じたが――「だが私は、自分の小賢しき邪推を、遊戯と心得てゐた頃だつた、愚昧な心の動きを、狡猾な昆虫に例へて、木の葉にかくれ、陽りを見ず、夜陰に乗じて、滑稽な笛を吹く――詩を、作つて悲し気な微笑を洩してゐた頃だつた...
牧野信一 「「或る日の運動」の続き」
...やがて大寒の頃になると櫟林の裏山から夜陰に乗じて野狐が襲来するさうだが...
牧野信一 「鵞鳥の家」
...夜陰の露路を單獨で...
牧野信一 「緑の軍港」
...平馬は、三斎の姿を見ると、礼儀正しく、畳に手をついて、「夜陰、突然、お愕(おどろ)かし申し、何とも、相済まぬ儀にござりまする」「うむ、よいよい――」と、三斎は、頷(うなず)いて物珍し気な目を連れの、闇太郎から離さずに、「して、それなる人物は、何者じゃ?」「平素より御隠居さま、一芸一能のある者共を、あまさず、御見知り置き遊ばしたいという、お言葉を承(うけたま)わり居りましたれば――」と、平馬は手を突いたまま、「これなる者は、今宵、御隠居所をさして参りまする途中、測らず、柳原河岸にて出会いました人物――...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...夜陰に乗じて墓を発(あば)き...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...夜陰を待ちかまえろ」と...
吉川英治 「三国志」
...夜陰に乗じて立退(たちの)こうなどとは見下げ果てた根性...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
便利!手書き漢字入力検索