...そうした奔走ですでに夜陰になったが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...夜陰(やいん)に曲者のように南縁の雨戸を開けて戸外(そと)へ出るだろう...
田中貢太郎 「頼朝の最後」
...獄舎の庭では夜陰(やいん)に無情の樹木までが互(たがい)に悪事の計画(たくらみ)を囁(ささや)きはせぬかと疑われるので...
永井荷風 「監獄署の裏」
...夜陰(やいん)に主人の寝息を伺って...
永井荷風 「狐」
...夜陰(やいん)屋敷へ来てするように罵ったり...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ただ、済まないでは済むまい、夜陰、人のおらぬはずのところへ忍び込んで来た奴、盗賊に相違あるまい……盗賊でなければ名を名乗れ」「へえ、恐れ入ります、七兵衛でございます」「ナニ、七兵衛?」「左様でございます」「七兵衛とはどこの何者だ」「お忘れになりましたか?」「知らん、左様な者は覚えはない、誰にことわって、何の用で入って来たのだ、不届きな奴」神尾主膳は、荒々しく立って長押(なげし)の槍を下ろして、それを突っかけて襖を押開きましたが、誰もおりません...
中里介山 「大菩薩峠」
...「その方たち、夫ある身でありながら、こうして夜陰、お籠(こも)りをすることを許されて来たか」「夫も承知のことでございます、ただ子供がほしいばっかりに……」と泣き伏してむせぶ者もあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...この原始的にして、進取の心なく、抵抗の力に乏しい小動物は、今し夜陰、こうして食物をあさりに出たものと見える...
中里介山 「大菩薩峠」
...自暴(やけ)に夜陰に向って擲(たた)きつけるように...
夏目漱石 「思い出す事など」
...まことに夜陰に及び...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...夜陰の川をゆっくりと流れる浮燈籠の様でもあった...
松永延造 「職工と微笑」
...御蔵前、門倉平馬、町人体の若者一人召し連れ、折り入って御意(ぎょい)得たいと申し、ただ今、脇玄関まで罷(まか)り出て居ります」「何に? 平馬が?」と、老人は呟いて、「かかる夜陰に、何の所存(つもり)でまいったか、――会うてとらせる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...夜陰に乗じて墓を発(あば)き...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...敵に夜陰のうごきある兆(しるし)です」と彼はいった...
吉川英治 「三国志」
...太守には夜陰を待って...
吉川英治 「三国志」
...その結果わしを山から追うことに決め、夜陰に乗じて、おばばを先達にここへ加勢にきたものとみえる……」「……ウウム、くるしい、武蔵、もうこうなる上は、ぜひもない...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それはすべて夜陰ではないか」「のみならずです!」「ウム」と...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...」夜陰の城へ二人は種々(いろいろ)と考えをめぐらし...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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