...夕凪(ゆうなぎ)とともに曇(どん)よりと...
泉鏡花 「浮舟」
...天国は近づけり風塵漸(ようや)く収まって世界は今や夕凪(ゆうなぎ)の寂静に帰ったが...
大隈重信 「永久平和の先決問題」
...其の晩は夕凪(ゆうなぎ)で風がすこしもなかったので...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...或る農夫の悦び・植ゑた田をまへにひろげて早少女の割子飯・田植もすましてこれだけ売る米もあつて・足音は子供らが草苺採りにきたので・夕凪の水底からなんぼでも釣れる・露けき紙札『この竹の子は竹にしたい』・ほんとにひさしぶりのふるさとのちしやなます(改作再録)山口後河原風景・おいとまして葉ざくらのかげがながくすずしく木かげがあれば飴屋がをれば人が寄つて・ま夏ま昼の火があつて燃えさかる大橋小橋...
種田山頭火 「其中日記」
...夕凪の内海はほんにうつくしい...
種田山頭火 「旅日記」
...いつもならば夕凪(ゆうなぎ)の蒸暑く重苦しい時刻であるが...
寺田寅彦 「嵐」
...夕方この地方には名物の夕凪(ゆうなぎ)の時刻に門内の広い空地の真中へ縁台のようなものを据えてそこで夕飯を食った...
寺田寅彦 「海水浴」
...夕凪(ゆうなぎ)は郷里高知の名物の一つである...
寺田寅彦 「夕凪と夕風」
...東京という土地には正常の意味での夕凪というものが存在しない...
寺田寅彦 「夕凪と夕風」
...東京で夕凪の起る日は大抵異常な天候の場合で...
寺田寅彦 「夕凪と夕風」
...食事の後(のち)甲板に出ると夕凪(ゆふな)ぎの海原(うなばら)は波一つなく...
永井荷風 「黄昏の地中海」
...その夕凪(ゆうなぎ)と朝凪(あさなぎ)とで名を得た海であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...嵐の前の夕凪のやうに...
中原中也 「青年青木三造」
...雨後の夕凪で、昼間の暑気が淀みのこり、蒸し釜で蒸しあげられるような夜の九時すぎ、あさひがシュミーズひとつでぐったりしているところへ、店で芦原小夜子といっている北川千代が、スーツケースをさげてやってきた...
久生十蘭 「虹の橋」
...夕凪(ゆうなぎ)の日には...
森鴎外 「鶏」
...夕凪の蒸暑い盛を過すことにした...
森鴎外 「鶏」
...夕凪(ゆうなぎ)の明るい川波を縒(よ)って...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...夕凪(ゆうなぎ)のむし暑いほとぼりが冷め切れないうちにも...
吉川英治 「宮本武蔵」
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