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陀田勘助 「ある日」
...大きな藍色の壺を搬(はこ)ばせてきた...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...まあ、大変だわ、レコードを濡(ぬ)らさないようにしてよ、と女史が云うので、大急ぎでキャビネットからレコードを出して、何処(どこ)か高い所へ置くと云っても棚(たな)も何もないので、もう水に漬かっているピアノの上へ積み上げたりしていたが、そうこうするうちにお腹ぐらいの深さになって、三つ組のテーブルだの、珈琲沸かしのグラスの球だの、砂糖壺だの、カーネーションの花だの、いろいろなものが室内の彼方此方にぽかりぽかり浮き始めた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...才人酒壺洞君にもさうした過失(勿論それは君自身の犯したものではないけれど)があるとは...
種田山頭火 「其中日記」
...・さそひあうて雪の婦人会へゆく顔でふうふの家鴨がつめたい地べた・雪もよひ雪となる肥料壺のふたする・日向の枯草をやいてゐる人一人・この家にも娘さんがあつてきりぼしきざんでゐる・紙反古もほつたらかして寒う住んでゐる・みぎひだりさむいさむいあいさつ・やうやうにして水仙のつぼみ寒うきて子の自慢していつた雪ふる大木に鋸をいれやうとして一月三十一日日々好日...
種田山頭火 「其中日記」
...銅壺(どうこ)に浸(つか)った酒の燗(かん)などを見ながら...
徳田秋声 「爛」
...芋の壺焼(つぼやき)とか...
徳田秋声 「チビの魂」
...一度に湯壺へ飛び込んでくる時とがある...
豊島与志雄 「或る素描」
...ターマンは薬の壺をかゝへて立ちあがりました...
豊島与志雄 「シロ・クロ物語」
...淨瑠璃(じやうるり)の壺坂靈驗記(つぼさかれいげんき)の澤市(さはいち)の例でも證明されることです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...下(した)に金貨(きんか)が詰(つ)まった壺(つぼ)がみっつある...
ダグラス・ハイド Douglas Hyde 館野浩美訳 「首なし」
...地獄壺の中をほじくり...
林芙美子 「清貧の書」
...帰るなり葵ノ壺へ行って問いつめると...
久生十蘭 「無月物語」
...フィリーモンがクイックシルヴァを脇へ引張って行って一体どうして古い土焼の壺の中へ牛乳の泉なんかがはいって来たんでしょうと訊くと...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...燗(かん)をなすには屎壺(しゅびん)の形したる陶器(とうき)にいれて炉の灰に埋(うず)む...
森鴎外 「みちの記」
...あちらの旦那様もお坊ちゃんも金壺眼できょろきょろ御らんになる様子ったら...
矢田津世子 「神楽坂」
...ここに示す墨壺は明らかに商品ではない...
柳宗悦 「工藝の道」
...封印された十数コの茶壺(ちゃこ)が...
吉川英治 「私本太平記」
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