...第一に浅草といひさへすれば僕の目の前に現れるのは大きい丹塗(にぬ)りの伽藍(がらん)である...
芥川龍之介 「野人生計事」
...青葉(おおば)がくれにちらちら見(み)える一(ひと)つの丹塗(にぬり)のお宮(みや)でございました...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...それでも顏には白いものを塗つてゐる事が明かだ...
高濱虚子 「俳諧師」
...など、多少、いやしく調子づいたおしゃべりはじめて、千里の馬、とどまるところなき言葉の洪水、性来、富者万燈の御祭礼好む軽薄の者、とし甲斐(がい)もなく、夕食の茶碗、塗箸もて叩いて、われとわが饒舌に、ま、狸(たぬき)ばやしとでも言おうか、えたい知れぬチャンチャンの音添えて、異様のはしゃぎかた、いいことないぞ、と流石(さすが)に不安、すこしずつ手綱引きしめて、と思いいたった、とたんにわが家の他人、「てれかくしたくさん...
太宰治 「創生記」
...あるひどい雨の日の昼ごろにたずねて来たときは薄絹にゴムを塗った蝉(せみ)の羽根のような雨外套(あまがいとう)を着ていたが...
寺田寅彦 「B教授の死」
...特にお白粉を塗って行くように注意したという点なのだ...
戸坂潤 「社会時評」
...総て朱塗で立派なものであった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...やれ、痛い、おお、痛い」斉興は、片脚を、蒲団の下から投げ出して、唾を塗った...
直木三十五 「南国太平記」
...屋敷らしい縁(ふち)の黒塗がなおさら卑しい...
夏目漱石 「虞美人草」
...髮へ埃(ほこり)と煤(すゝ)を塗りこくつた辛抱には驚いたよ」「――」「八...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...白粉(おしろい)を塗つてゐる手先の運動につれて...
水野仙子 「散歩」
...向う側のカフエの赤と白との日覆と青塗の植木の鉢とがやっと見えるような街でした...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...明治文壇を碁盤と見立てゝ、詩歌小説の魂膽を機械的遊戲とごつちやにし、棋將碁うち混ぜたる入法外(いりほが)の差出口、五ならべの初心者をつかまへても、初より八段に桂馬飛せさせむと肝を煎り、まだ歩もつかぬ盤面に指さして、それ王手をと氣を焦燥(いらだ)ち、嗚呼(あゝ)この堂々たる手の裏(うち)に、金は無いか、銀將無きかとうれたがり、今にして、斷(た)ち截(き)らずば、末を奈何(いかに)と懸念貌(けねんがほ)、仔細らしく意味取りちがへて濫用する圍棋詞(ことば)の粘、塗、抑、約いと五月蠅(うるさ)しと...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...黒革の上に朱塗で太々とその文字が模様のように記してあります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...これは船躰(せんたい)を白く塗ったほうの通船で...
山本周五郎 「青べか物語」
...外側が青いペンキで塗ってあり...
山本周五郎 「青べか物語」
...お唇は紅を塗ったようである...
吉川英治 「私本太平記」
...塗りの大笠(おおがさ)をいただき...
吉川英治 「新書太閤記」
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