...ほてった彼の顔から耳にかけて埃(ほこり)を含んだ風が息気(いき)のつまるほどふきかかるのを彼れは快く思った...
有島武郎 「カインの末裔」
...皇后の宮はある朝御自分で刷毛(はけ)をもつてその埃(ごみ)を払ひ落とされた...
薄田泣菫 「茶話」
...埃にまみれてるだけで...
豊島与志雄 「霧の中」
...それは塵埃(じんあい)の喜びであり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...埃っぽいにおいの中で...
中島敦 「木乃伊」
...自分は埃の立つ麥畑さへ興味を發見する樣に成つたのを衷心悦んで居る...
長塚節 「教師」
...御米(およね)は返事(へんじ)もせずに俯向(うつむ)いてしきりに夫(をつと)の脊廣(せびろ)の埃(ほこり)を拂(はら)つた...
夏目漱石 「門」
...天井から落ちたらしい埃(ほこり)さへ見えるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...旅の埃(ほこり)も拂はずに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長押に埃を被ったまま掛け捨ててあった槍の折れを持出したのでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それは籐を一パイに卷いた思ひの外の強弓(がうきう)で、弓弦(ゆんづる)は外したまゝですが、弓そのものは、埃も留めずに、よく拭いてあり、近頃使つた樣子も無いくせに、弦などが、僅かに濡れてゐるのが氣にかゝります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...少しは埃臭(ほこりくさ)いが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...埃(ほこり)っぽく欠伸(あくび)をして並んでいるし...
萩原朔太郎 「猫町」
...埃のいっぱいしている暗い燈の下で...
林芙美子 「新版 放浪記」
...「――春になると埃っぽいな――今日風呂が立つかい」「そうね...
宮本百合子 「斯ういう気持」
...残った役人たちは埃に巻かれながら...
山本周五郎 「風流太平記」
...埃(ほこり)と汗にまみれた...
山本周五郎 「山彦乙女」
...「……満月……満月……」と囁やき交しながら雪崩(なだ)れ傾いて行く人雑沓(ひとごみ)の塵埃(ほこり)いきれ……...
夢野久作 「名娼満月」
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