...「人力の及ぶかぎりの確(たしか)さをもって地味に...
大島亮吉 「涸沢の岩小屋のある夜のこと」
...ちょっと地味に見えながらも...
太宰治 「風の便り」
...後輩たる者も亦(また)だらしが無く、すっかりおびえてしまって、作品はひたすらに、地味にまずしく、躍る自由の才能を片端から抑制して、なむ誠実なくては叶(かな)うまいと伏眼になって小さく片隅に坐り、先輩の顔色ばかりを伺って、おとなしい素直な、いい子という事になって、せっせとお手本の四君子やら、ほてい様やら、朝日に鶴、田子の浦の富士などを勉強いたし、まだまだ私は駄目ですと殊勝らしく言って溜息をついてみせて、もっぱら大過なからん事を期しているというような状態になったのです...
太宰治 「風の便り」
...もっともっと地味に作らなんだら...
谷崎潤一郎 「細雪」
...妹さんの見合いに附き添う時には精々地味に作るようにと...
谷崎潤一郎 「細雪」
...よく地味に相当するものを植えつけておくと...
中里介山 「大菩薩峠」
...地味に於て物資に於て寧ろ北来に優る南米が...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...日向(ひなた)へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である...
夏目漱石 「三四郎」
...日ごとに地味になって行く人のようにも見えた...
夏目漱石 「門」
...地味に合わぬとみえて目黒の山にはなく...
額田六福 「解説 趣味を通じての先生」
...何と申してもお歳がお歳で会場の空気が地味になり過ぎますから...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...そのころ流行(はや)つた、客同士の盃のやりとりもなく、地味に呑んで、地味に食ふ人ばかり...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...地味に終ってしまった...
林芙美子 「落合町山川記」
...元銀行家だった父の遺して行った古い屋敷に地味に暮らしていた...
堀辰雄 「菜穂子」
...稚いといっても小説は地味に大体このような組立てで書かれていってよいものだと思う...
宮本百合子 「稚いが地味でよい」
...寧ろ地味にフリーランサーとして書かれる短篇のうちにその可能がふくまれていると考えられて来ているらしい様子です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...益地味に、ジャーナリスティックな埃に穢されぬ本質で勉強するよろこびを理解します...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...総じて上品で地味に見えてその実上等品といったところが履き手の自慢...
山本笑月 「明治世相百話」
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