...「人力の及ぶかぎりの確(たしか)さをもって地味に...
大島亮吉 「涸沢の岩小屋のある夜のこと」
...後輩たる者も亦(また)だらしが無く、すっかりおびえてしまって、作品はひたすらに、地味にまずしく、躍る自由の才能を片端から抑制して、なむ誠実なくては叶(かな)うまいと伏眼になって小さく片隅に坐り、先輩の顔色ばかりを伺って、おとなしい素直な、いい子という事になって、せっせとお手本の四君子やら、ほてい様やら、朝日に鶴、田子の浦の富士などを勉強いたし、まだまだ私は駄目ですと殊勝らしく言って溜息をついてみせて、もっぱら大過なからん事を期しているというような状態になったのです...
太宰治 「風の便り」
...寧(むし)ろ地味にすぎる位がいいので...
辰野隆 「愛書癖」
...「でもちょっとぐらい地味にお作りになったんではいけませんのよ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...予定したように地味にする訳に行かなくなり...
谷崎潤一郎 「細雪」
...よく地味に相当するものを植えつけておくと...
中里介山 「大菩薩峠」
...日向(ひなた)へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である...
夏目漱石 「三四郎」
...日ごとに地味になって行く人のようにも見えた...
夏目漱石 「門」
...地味に合わぬとみえて目黒の山にはなく...
額田六福 「解説 趣味を通じての先生」
...そのころ流行(はや)った、客同士の盃のやりとりもなく、地味に呑んで、地味に食う人ばかり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...できるだけ地味に平凡に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...このあたりの痩せ枯れた地味にくらべると...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...男が地味にすることを廃し...
正岡容 「わが寄席青春録」
...其地味に據て産する處の竹木花果と雜穀菜草を試み...
松浦武四郎 「他計甚※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2-94-57](竹島)雜誌」
...地味にどの程度書き得て来ているかと考えると...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...寧ろ地味にフリーランサーとして書かれる短篇のうちにその可能がふくまれていると考えられて来ているらしい様子です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...益地味に、ジャーナリスティックな埃に穢されぬ本質で勉強するよろこびを理解します...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...しかしその変革は諸所の農村で地味に目立たず行われたのであって...
和辻哲郎 「鎖国」
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