...若くは広やかな地の景色、若くは高く拡がる空、若くは生活、若くは圃園、若くは大きな物思はしい夜は凡てあなたにふさはしい...
有島武郎 「運命と人」
...山腹の果圃(くわほ)は黄なる斑紋ある青氈(あをがも)に似たり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...広い田圃の中に小島のような森がある...
伊藤左千夫 「春の潮」
...田圃への道を浩平は割り切れぬ気持でのそりのそりと戻りつつあった...
犬田卯 「米」
...此頃はいまだ田(た)も圃(はた)も平一面(ひらいちめん)の雪の上なれば...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...僕の前世は田圃の蛙か田螺(たにし)であったらしい...
辰野隆 「雨の日」
...田圃(たんぼ)向うの丘の上を通る青山街道から見下ろす位の低い丘だが...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...田圃(たんぼ)の稲のかげなどにかくれて...
徳永直 「あまり者」
...吉原田圃はこの処を云つたのである...
永井荷風 「里の今昔」
...和議の条件を種々提示したが石圃は頑として応じない...
中島敦 「盈虚」
...自分(じふん)の家(いへ)は田圃(たんぼ)のとりつきである...
長塚節 「土」
...氣になりますね」寺島村の田圃(たんぼ)から...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あんな暗い田圃を――」と妻が眼を見張つた...
牧野信一 「熱い風」
...この前の停留場で降りてからY村までの田圃道は一里ちかくあるのだつたが...
牧野信一 「陽に酔つた風景」
...「して、お客ッてえのは?」「さあ、ねえさん、出なせえったら――」と、後棒――さては、悪い雲助に、かどわかされた――と今更、思い知った浪路、逃れるにも逃れるすべもなく、かごの中に、小さく身をそぼめ、しっかと、細い手で、枠につかまっている、その白い手を、つかもうとして、「さあ、こんな寒いところにいねえで、うちの中へおはいんなせえよ――な、わるいようにはしねえんだ――ねえさん――出なせえよ」「後棒、何を、やにッこいことをいっているんだ!」と、先棒が、これに手荒く、ズカズカと寄って来て、「これ、娘、出ろッたら出るんだ!夜(よる)よ中、町中を、気ちげえ見てえななりで、ほっつきあるいているから、折角、ここまで連れて来てやったんじゃあねえか? あッたけえ、火の側に寄せてやろうというんじゃあねえか? 出ろ! 山ノ宿も、糞もあるものか?」後棒が、猫撫で声で、「さあ、兄貴が、あんなにおこるじゃあねえか――騒いで見たってここは、こんな田ん圃中、どうなるもんだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...闇太郎は、相変らず、浅草田圃に、象牙を彫っているようだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...江稼圃(こうかほ)...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...田能村竹田の山中人饒舌に「己巳歳江大来稼圃者至」と書してある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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