...因果なことに、船が揺れると食慾の出る僕は、グリン・ピースの大きな缶詰をほとんど一人で平げ、リスター・バッグの水でつくったココアをコップに一杯のんでから船艙に下りて行き、一番隅の、一番上のサックに横たわった...
石川欣一 「比島投降記」
...思へば免(のが)れぬ因果なりけん...
巌谷小波 「こがね丸」
...丈五郎は因果なことに...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...因果な身の上なのだ...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...して見ると日本ラジオの例の因果な身の上は...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...因果なことにはそれが膝の上へ落ちたものだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...その後、おりゃ、女という方にはさっぱり綺麗に、よくもここまで通して来たもんだ、悪い事ぁするが、その悪いことも性分でやってるので、意地でやるわけじゃねえんだ、因果なことに、盗むのが面白くって面白くって、世間が隙(すき)だらけで隙だらけで、だまって見ていられねえから、ついちょっと手が出る、手が出ると、足が物を言うので、ツイツイここまで盗みを商売にしては来たものの、その上り高で、道楽を一つするじゃなし、お妾(めかけ)を一人置こうじゃなし、時たま旨(うめ)え酒を飲んで、旨え物を食ってみるくれえが関の山なんだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...因果なことには、風もない快晴の日で、空には雲一つない...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...その最も因果な所以(ゆえん)が自分から面白くなって止(や)められない点にあるのだから全く厄介なことである...
中谷宇吉郎 「雪雑記」
...嬶(かかあ)も因果な奴さ...
火野葦平 「糞尿譚」
...僕は蔵の中にある自分にしつかりと抱きついた因果な力を感じた...
牧野信一 「凩日記」
...斯ういふ因果な倅を持つて...
牧野信一 「スプリングコート」
...ひとたびゼーロンとしての因果なゆかりを持つた上は...
牧野信一 「夜見の巻」
...かつ (なにかしながら)まったく、因果な事だよう...
三好十郎 「鈴が通る」
...……全体仙太公と言う男は因果な男だて...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...因果なきにあらず...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...飢餓や病魔のお化けにとッつかれて多年不幸の底にあった因果な家庭も...
吉川英治 「親鸞」
...そして因果な身にしてやるのだ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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