...噫(ああ)、然だ、然だつけ、と思ふと、此過去の幻の如き巨人が、怎(どう)やら揺ぎ出す様に見えた...
石川啄木 「葬列」
...』『一人よりは二人、二人よりは三人、三人よりは四人、噫(ああ)...
石川啄木 「漂泊」
...」「噫(あゝ)帖然一紙(てふぜんいつし)...
泉鏡太郎 「畫の裡」
...その挨拶を受けらるる時の奥方が、端然として針仕事の、気高い、奥床しい、懐(なつかし)い姿を見るにつけても、お蔦に思較べて、いよいよ後暗(うしろめた)さに、あとねだりをなさらないなら、久しぶりですから一銚子(ひとちょうし)、と莞爾(にっこり)して仰せある、優しい顔が、眩(まぶし)いように後退(しりごみ)して、いずれまた、と逃出すがごとく帰りしなに、お客は誰?……とそっと玄関の書生に当って見ると、坂田礼之進、噫(ああ)、止(やん)ぬる哉(かな)...
泉鏡花 「婦系図」
...かくて劫初(ごふしよ)の昔より、かくて無數の歳月を、慈悲悔恨の弛(ゆるみ)無く、修羅(しゆら)の戰(たゝかひ)酣(たけなは)に、げにも非命と殺戮(さつりく)と、なじかは、さまで好もしき、噫、永遠のすまうどよ、噫、怨念(をんねん)のはらからよ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...噫、われ倦みぬ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...噫、小路、安逸(あんいつ)の、醜辱(しうじよく)の、驕慢(けうまん)の森(もり)の小路よ、あだなりしわが世(よ)の友(とも)か、吹風(ふくかぜ)は、高樫(たかがし)の木下蔭(このしたかげ)に聲(こゑ)はさやさや、涙(なみだ)さめざめ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...噫、歡樂よ、今さらに、なじかは、せめて爭はむ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...かくて劫初(ごうしよ)の昔より、かくて無数の歳月を、慈悲悔恨の弛(ゆるみ)無く、修羅(しゆら)の戦(たたかひ)酣(たけなは)に、げにも非命と殺戮(さつりく)と、なじかは、さまで好(この)もしき、噫(ああ)、永遠のすまうどよ、噫、怨念(おんねん)のはらからよ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...噫、おしろい、おしろい、汚(よご)れた夜(よる)の白粉花(おしろいばな)...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...自分の専門のことなぞは噫(おくび)にも出さないで...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...彼(かれ)はハバトフが昨日(きのう)のことは噫(おくび)にも出(だ)さず...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...しかし噫呼これも書生上りの空想に過ぎなかったのである...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...噫、為政の局に当れる有司ハ間牒を放ちて無辜の人民を塗炭の苦に陥れ、隣村の人民ハ自ら起て暴言の汚辱に甘んじ風雨の苦難を凌ぎ以て隣人相愛の事に努力せり...
田中正造 「非常歎願書」
...噫(あゝ))腕は余りたゝなかつたですが弁は達者な男でした...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...どうしても噫(ああ)無情や鉄仮面の読者を思い出す...
平林初之輔 「黒岩涙香のこと」
...噫(おくび)にも公然とは口に出しません...
吉川英治 「新・水滸伝」
...つい今日まで噫(おくび)にも出さずにいたが...
吉川英治 「新・水滸伝」
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