...所謂結婚に対するあらゆる弁護はかの『哀れむべき人々の外交術と称するものは真理を偽はり存在せるものを否定することによつて成立す』と云つたラサルレの言葉を確むるものである...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...もし婦人にして哀れむべき独身の境遇より一個の男子を救ふこと能はず...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...ここで別れる彼を哀れむように自身もいつか自身の言葉に感傷を誘われたふうで話しつづけた...
徳田秋声 「仮装人物」
...闇雲(やみくも)に先きを急ぐやうな若い時の焦躁(せうそう)が、古いバネのやうに弛(ゆる)んで、感じが稀薄になるからでもあるが、一つは生命の連続である子供達の生長を悦(よろこ)ぶ心と、哀れむ心が、自分の憂ひを容赦してくれてゐるのであつた...
徳田秋声 「風呂桶」
...かえって哀れむべき男なのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...此哀れむべき婦人を最後の一滴まで搾取した...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...我が身を哀れむ涙が指から落ちた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...哀れむべきではないか...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...それこそ実に哀れむべき父です...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...人間というこの哀れむべき被造物が何かしらあの理解を越えた威力のようなものをその身に備えていると考えたのか? また我々のたよりない理解力にして...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...あの醜い哀れむべきしかめつらが...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それは哀れむべき御馳走である」というファウォリヌスの説をわたしはしりぞける...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「つまり鰯(いわし)の頭も信心というやつかね」「たわけたことを云ってはいけない」飯篠老人は哀れむように杢助を見た...
山本周五郎 「似而非物語」
...淋しく物思う地上の一人子を哀れむように照らしております...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...村人の信用を博するために骨を折っている一種の哀れむべき自家広告術ぐらいのものであろう...
夢野久作 「眼を開く」
...はや彼の増長慢のあらわれと哀れむべきではありませんか」「先生...
吉川英治 「三国志」
...哀れむような微笑をたたえた...
吉川英治 「親鸞」
...多少内的生命を有する人にしてなお虚栄に沈湎して哀れむべき境地に身を置く人がある...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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